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P&Ptimes

vol.32
September 2025

パッケージ&プロモーションを手がける会社が発信するP&Ptimes_vol.32 | 株式会社90 PLUS WINE CLUB President ジャックK・坂崎氏

Topic
1

P×Ptalk

第11回 廣川信也 × ジャックK・坂崎氏
アメリカで育った「日系人」のスポーツ・マーケッターの中には、
「日本人」が失いかけた日本的価値観と美徳がしっかり宿っていた
P×P talkとは?
「P×P talk」は、当社代表廣川信也が各界で活躍するリーダーと、ビジネスや人生について語り合う対談企画です。

今回の対談のゲストは、株式会社90 PLUS WINE CLUB President ジャックK・坂崎氏です。


株式会社90 PLUS WINE CLUB President ジャックK・坂崎氏

PROFILE
株式会社90 PLUS WINE CLUB President
ジャックK・坂崎氏じゃっくけー・さかざき
1946年熊本県出身。57年に家族で渡米し、カリフォルニア大学バークレー校卒業後、スポーツマーケティング分野におけるキャリアをスタートさせる。78年にウエスト・ナリー・ジャパンを設立し、サッカー、陸上などのマーケティングを手がける。87年にJ・坂崎マーケティングの社長となり、ラグビーW杯、サッカー、大リーグ中継などの権利ビジネスに取り組む。
スポーツマーケティング引退後、2009年にカリフォルニア・ナパのプレミアムワインを日本の会員に提供する「90 PLUS WINE CLUB」を設立。現在は会長をつとめるとともに、娘のミッシェル・和美・坂崎氏とともに「KAZUMI WINES」の普及に尽力している。

column
01
ままならぬ状況がどれだけ続こうとも
「意志」という灯は消さない
廣川 スポーツ・ビジネスの世界に足を踏み入れるまでの経緯を聞かせてください。
坂崎 アメリカ生まれの日系二世の母のもと1946年に熊本で生まれ、10歳で渡米。高校時代は野球とフットボール、そして日本人の誇りとも言うべき柔道の3競技に励み、数学と芸術が得意科目でした。LIFE誌に紹介されたミノル・ヤマサキ氏の影響で建築家を志してフットボールと建築が両立できるカリフォルニア大学バークレー校に入学するも大怪我でフットボールは1年で断念しました。卒業後に就職した建築事務所は、怪我の後遺症により長時間の製図作業が難しく、やむなく1年で退職しました。
当時アメリカは不景気で仕事も少なく、「日本をもっと知りたい」という思いから、日本語新聞の東洋ガラスの求人広告に応募。2年間の日本勤務後に米子会社の技術リーダーとして帰国できるという内容で「お金もない自分にとって、タダで日本に行けるのがいい!」と(笑)。アメリカで日本本社の副社長との面接後即入社が決まり、東京に着任しました。しかし、その副社長は入社僅か2か月後に事故で急逝し、後ろ盾を失って結局2年で退職。
その後、英字新聞『ジャパンタイムズ』で、業界最大手で世界的に著名なアーノルド・パーマー等のスポーツ選手のマネジメントを行うIMG社の日本法人立ち上げに伴う人材募集記事を見つけ入社しました。入社動機の一つは、学生時代の苦い経験です。柔道の全米大学選手権のスポンサー集めや広告制作で無理が重なり、大会前日に胃痙攣を起こし、点滴を受けながら選手として出場したものの、力を出し切れず敗退しました。今でも若くして才能に恵まれたスポーツ選手が、その人気故に練習時間や集中力を奪われ、活躍できず終わってしまうというケースがあります。選手が競技に専念できる環境整備のためにもプロ・マネジメントの存在は今でも不可欠だと思っています。
廣川信也とジャックK・坂崎氏(右)。数多くのスポーツメモラビリア(記念品)の前で廣川信也とジャックK・坂崎氏(右)。数多くのスポーツメモラビリア(記念品)の前で

column
02
状況がどれだけ困難でも、
曲げてはいけない「フェアプレイ」の精神
廣川 1974年のIMG社入社当時「スポーツ・マーケティング」という職業は日本に存在していたのでしょうか?
坂崎 まだです。当時は海外のプロスポーツ選手の日本への売り込みが中心で、ゴルフはすでに「ドル箱」でした。私はまだ知名度が低いテニスとスキー選手の担当。「日本人が知らない選手をどうやって日本に売り込むんだ!?」と頭を抱えながらのスタートでした。初マネジメントはテニスのビヨルン・ボルグ。16歳でプロ転向し、ウィンブルドンでベスト4入りした年でした。彼からラケットを木製から複合素材に変えたいという要望があり、本社から日本の各ラケットメーカーへの契約交渉を任されたのです。必死のプレゼンの甲斐あって、あるメーカーと内定が決まったものの2週間後に本社から「他社からさらに高額のオファーが来ているので金額を引き上げてもらえ」との指示。日本社会に対してそんな理不尽なことは言えないと悩みましたが、事情を説明し、最終的に希望額を捻出してもらいました。しかし、今度は選手本人が「やはり木製がいい」と言い出し、契約は白紙に。「こんな不誠実な仕事はできない」との思いが募り、入社から約2年で退社を決意しました。この経験を通じて「ビジネスにおいて卑怯なことは絶対にしない」というフェアプレイの精神が生まれました。

column
03
名刺はパーソナル・マーケティングのための
重要な「武器」
廣川 名刺に「ジャック K・坂崎」とありますが、この名前は最初から使用されていたのですか?
坂崎 いいえ、最初は日本名の「坂崎和憲」でした。しかし、日本語が不自由だったことで「なぜ日本人なのに話せないのか」と不審に思われ、ビジネスに支障をきたしました。そこで「ジャックK・坂崎」に変えたところ、「ハーフですか?」と聞かれ、「いえ、100%日本人ですがアメリカ育ちです」と自然に説明できるようになりました。
廣川 短所を『日米の橋渡し役』という強みに変えた一枚の名刺。まさにパーソナル・マーケティングの真髄を感じる事例です。

column
04
「空き枠」の活用こそ「ブルーオーシャン」
廣川 IMG社退職後は、どのような道を?
坂崎 28歳の時、放送局でゴルフ番組を制作していた方から「スポーツと営業の両方に明るい人材を探している」という突然の電話。お会いすると、「国際的なスポーツイベント生中継の放映権を取得し、日本のテレビ局に売る会社を立ち上げる。俺が代表になるので副社長と株主になってほしい」といきなりの打診。通信衛星の運用開始に伴い、海外のビッグイベントを生中継できる時代が到来しつつあり、それを見越しての1976年に設立された新会社TPI(テレ・プランニング・インターナショナル)の立ち上げでした。
廣川 まさに先見の明ですね!
坂崎 時差の関係で、海外のビッグゲームはアメリカでの開催試合は日本の早朝、欧州での開催試合は深夜に生中継されます。大手広告代理店独占のゴールデンタイムとは違い、その時間帯は日本のテレビ局では「空き枠」として、放送枠の提供を快諾してもらうことができました。
廣川 「バッド・ロケーション戦略」という言葉がありますが、これはまさしく「デッド・タイム戦略」だと言えるでしょう!

column
05
過去の「権利」にすがらない
廣川 海外との交渉は坂崎さん単独で?
坂崎 はい。ゴルフのマスターズ、全英オープン、テニスのウィンブルドン、さらにはメジャーリーグのワールドシリーズなどの生中継の放映権を、世界中を飛び回って獲得しました。放送は深夜にも関わらず高視聴率を記録し、スポンサーも続々と集まりました。その結果、各方面との幅広いコネクションを築くことができたのです。
そんな中、アメリカのカレッジフットボールの招聘しょうへいのために訪問したテンプル大学学長を前にした私は、TPI社の代表の要領の得ない話を通訳する内容を最小限に留めていました。しかし、外に出るなり「なぜ俺の話をちゃんと訳さないんだ!」と彼が激怒。私も「訳せる内容じゃない!」と応酬。更に「君は単なる通訳だ!」と言われた瞬間、私は「通訳だけなら他にもいます。私は辞めます!」と、その場で辞意を伝えました。それまでの方針の違いが積み重なり、即断する結果となりました。その後、彼からは1年近く毎日のように電話がありましたが私の意思が揺らぐことはありませんでした。海外関係者への辞任の挨拶回りでは、「TPIではなく、ジャックに渡した放映権なのだから、あなたが引き継いでくれ」と多くの人から言われました。しかし、そこでの権利に関しては、たとえ自分が獲得したものでも一切手を出さないと心に決めていたので全てお断りしました。日系三世ではあるものの、私の気質は『肥後もっこす』と言われる熊本の風土そのものです。一度口にしたことは決して引っ込めない性分なのです。
モハメド・アリが実際に使用したグローブモハメド・アリが実際に使用したグローブ
イベント記念品やプロアスリートの直筆サインや写真で埋め尽くされたジャックK・坂崎邸(アメリカ・ナパ)イベント記念品やプロアスリートの直筆サインや写真で埋め尽くされたジャックK・坂崎邸(アメリカ・ナパ)

column
06
重要な局面でこそ試される「臨機応変」
廣川 TPI社を退社後、1978年にパトリック・ナリー氏との運命的な出会いが待っていましたね。
坂崎 彼はウエスト・ナリー社(英国スポーツ・プロモーション企業)の共同代表で、IMG社時代の仲間の紹介で挨拶目的でロンドンへ立ち寄ったところ、話が弾み、予定していた30分が3日間のビジネス・ミーティングへと変わりました。
廣川 どんな内容だったのですか?
坂崎 当時、サッカー・ワールドカップ(以下、W杯)のスポンサーは大会ごとの個別募集が慣例とされていました。しかし1982年スペイン大会からは、商品販売、スタジアム看板、広告でのロゴ使用等をワン・パッケージ化し、さらに欧州選手権なども含めて「インター・サッカー4」として4年単位・1業種1社限定で提供する画期的なモデルが確立されました。その推進者が、ナリー氏で、彼から「日本市場を担当して欲しい」と打診され、すぐにウエスト・ナリー・ジャパンを設立。半年で必要なスポンサー企業をまとめ上げました。
廣川 驚異的なスピードですね!
坂崎 彼とのミーティング直後に日本へ戻り、ある大手広告代理店に提案しましたが、門前払いを受けました。一方、別の代理店からは「W杯全32試合に加え、欧州選手権の何十試合もの権利が得られるなら、検討の価値はある」と好反応。そこからの紹介で、ある企業の担当課長を出張先のロンドンまで追いかけて説得。最終的に、契約金を半額にするために看板を始めとする権利関係を半分に減らすことで成立させました。「今後欧州各国に現地法人を展開する予定で、各言語で広告を出すより世界共通のロゴがテレビに映る方が費用対効果が高い」との判断が、他スポンサー獲得の呼び水にもなりました。
廣川 個人的に興味深いのは、1983年の第1回世界陸上ヘルシンキ大会での、TDKによるゼッケン広告契約です。すべての選手の胸に企業ロゴが入る。マラソンなら2時間以上テレビに映り続け、極めて大きな広告効果がありますよね。これも坂崎さんのアイデアだったとか?
坂崎 はい。世界的な知名度と市場拡大を目指していたTDKに、「誰が勝ってもTDKですよ!(笑)」と提案したら、「それは面白い」と前向きな返答をもらえました。ただ、ロゴが3文字と短くテレビ映えしないという課題がありました 連盟に交渉を重ね、最大幅2.8 cmで承認を得ましたが、TDKからは「3.3 cmは必要」との要望をうけ、私はその場で「わかりました」と即答するものの、その幅はまだ正式に承認を得ていませんでした(笑)。何かあれば自分で責任を取る覚悟でそのまま進め、大会初日の表彰台の3人のゼッケンに「TDK」のロゴがテレビにはっきりと映し出された瞬間、「目立ち過ぎだ!バレるのでは?」と内心ヒヤヒヤでした。でも、誰にも指摘されず、むしろ今ではそのサイズが国際標準になっています(笑)。結果、TDKは欧州市場での売上も大きく伸ばし、「世界陸上、『TDK』が金メダル」という印象的な見出しが踊るほどでした。

column
07
「悲劇」も、新たなチャンスに
廣川 その後、最大の危機に直面されたとか?
坂崎 はい。1982年のW杯スペイン大会の数か月前、FIFAに強い影響力を持つある人物が日本の大手広告代理店と組み新会社を設立し、1986年のメキシコ大会以降のFIFA関連の全権利がウエスト・ナリー社からその新会社に移されてしまったのです。私が一から開拓したスポンサーも、一から創り上げた「トヨタ・カップ」までをも。ウエスト・ナリー社の株式などの内部事情にもっと精通しておくべきだったという悔いはありますが、もはや為す術はありませんでした。理不尽な結果ではありましたが、全てを受け入れました。何よりも「フェアプレイ」を貫きたかったからです。
廣川 この逆境をどう乗り越えましたか?
坂崎 自ら立ち上げた「ラグビー・ワールドカップ」をはじめ、ウエスト・ナリー社に残されたイベントの成功に向けて全力を注ぎました。そして1987年、同社から独立して「J・坂崎マーケティング(JSM社)」(後のジャパン・スポーツ・マーケティング)を設立しました。

column
08
「小」が「大」に勝つための戦略は、
自ら「現場」に足を運ぶこと
廣川 JSM社での新しい取り組みの中でまずアジアサッカーについてお聞かせください。
坂崎 当時、日本企業がアジア市場に本格的に参入し始めた時期で、各国のインフラも整いつつありました。「欧州のようにスポーツを通じてアジアで知名度を高めたい」という日本企業のニーズが高まり、ほぼアジア全域をカバーする「共通言語」はやはりサッカーだと考えました。そのため、AFC(アジアサッカー連盟)主催の大会のスポンサー権をW杯スペイン大会のようにワン・パッケージ化し4年1サイクルで販売する戦略を取りました。日本企業にとっては、「日本戦以外の中継でも自社のロゴ看板がきちんとテレビに映るのか?」が最大の関心事。そこでスターチャンネルに対し、放映権料は一切取らない代わりに、全試合の中継を確約してもらう形を取りました。
廣川 メジャーリーグを日本にとって身近な存在にしたという点でも坂崎さんの果たした役割も非常に大きかったのでは?
坂崎 1990年、日本でのメジャーリーグ中継が始まるのに合わせて、「バックネットサイネージ(バックネット下フェンス部分のデジタル広告)」を日本に初めて紹介しました。日本のプロ野球中継では、広告と番組スポンサーが競合する一方で、メジャーリーグ中継はアメリカ側制作の映像が使用されるため、国内のテレビ局が関与する余地がありませんでした。また放送がNHKで民放スポンサーとの競合もなく、多くの日本企業がメジャーリーグの「バックネットサイネージ」に広告を出稿するようになりました。さらにこれを進化させ、フィールドに実際には存在しない広告をテレビ画面上にCGで表示する「バーチャル広告」の仕組みも紹介しました。
廣川 著書 『フェアプレイ』(1998年刊)で掲げた「野球のワールドカップ」という夢が、2006年のWBCとして実現しましたね。
坂崎 はい。MLB国際部の日本代表として、「野球にもサッカーW杯のような大会が必要だ」と訴え続けた結果だと思っています。
廣川 またこのWBCでも「バーチャル広告」が大活躍していますが、国内外を問わず現場に自分で足を運んで、「アジア・マーケット」や「メジャーリーグ」、そして「スタジアム×デジタル広告」といった情報やアイデアを大手広告代理店に先んじていち早く目を付け、即座に実現させることこそが「小」が「大」に勝つための戦略なのですね。
坂崎氏とデビッド・ベッカム氏
2003年にジャックK・坂崎氏が招聘した
レアル・マドリードの一員として来日した
デビッド・ベッカム氏と
ケン・グリフィーJr.とイチローのダブルサインボール
ケン・グリフィーJr.とイチローの
ダブルサインボール

column
09
「組織」は「DNA」を育むための「土壌」
廣川 JSM社はスタッフ何名くらいの規模だったのですか?
坂崎 多い時で50人ほどです。陸上、ラグビー、アジアサッカー、中国プロ野球など、分野ごとにプロジェクトを編成し、新入社員でも入社翌日からクライアントの制作会議に参加したり、現場へ足を運ばせたりしていました。入社の際には「本気でこの仕事をやりたいなら、自分のすべき事を実践の中で見つけなさい。それが君たちの『財産』になる」と伝えていました。
廣川 それはもはや「会社」というより「道場」ですね。もしその頃にお会いしていたら、間違いなく「弟子入り」させてもらっていました(笑)。その後、スポーツ・ビジネスの本質が歪められ、業界が巨大化、マネーゲーム化する中で、会社を手放す決断をされたそうですが、スタッフの皆さんはその後どのようにされていますか?
坂崎 無借金経営を続けて、全員に退職金を渡したうえで、2008年に誰にも迷惑をかけずに会社を手放しました。スタッフの多くはその後、プロスポーツ選手のマネジメントやスポーツ・マーケティング、スポーツメディアといった分野で、現在も活躍してくれています。
廣川 JSM社という「組織」は消えても、そこで培われた「DNA」がさまざまな業界で新しいビジネスを創出していく。「組織」は新しい才能を育む「土壌」でなければならないのですね。

column
10
激動の「現役時代」を生き抜いた人に、
静かな「余生」はやってこない
廣川 JSM社を手放した後は?
坂崎 母親のこともあり、60歳を機にアメリカに戻ることにしました。「終の住処」として選んだのは、以前から決めていたナパのシルバラードです。海も山も近く、多くのワイナリーが点在する一方で、PGAツアーが開催されるゴルフコースにも自宅からカートで行けるという立地に、強く惹かれたのです。
ジャックK・坂崎邸の庭にてジャックK・坂崎邸の庭にて
廣川 ナパに戻った時点で、ワインビジネスについて具体的に考えていたのですか?
坂崎 いえ、全く。2010年頃、ワイナリーオーナー達から「君はもう『ジャパニーズ』ではなく『ナパニーズ』なんだから、日本にもっとナパワインを紹介すべきだ」と言われたのです。ちょうどその頃、ナパを訪れた日本の友人達がワインの発送を手伝った経験もあり、「協力するよ」と即座に答えました。1回に25〜150ドル程度のワインを12本組み合わせ、年3回、合計36本を厳選して提供します。そして、時間短縮と温度管理を実現するため、航空便で日本の会員に届けることとしました。こうして誕生した「90 PLUS WINE CLUB」は、発足からすでに15年。日本でのテイスティングイベントも、まもなく50回に達します。ちなみに「90 PLUS」とは、専門家による世界的評価で90点以上のワインを扱うという意味で、私が90歳までやるという意味ではありません(笑)。

column
11
ファーストクラスからエコノミークラスになっても、
果たし続けなければいけない使命がある
廣川 またまた、大変な仕事を始めたものですね。
坂崎 自分でも「よくやってるな」と思うことがあります。スポーツ業界で活動していた頃は、移動手段がファーストクラスでしたが、現在はエコノミークラスです。日本への1回の渡航滞在費を賄うためには、ワインを何千本も売らなければならないのです。
廣川 それだけの手間と時間をかけ、しかもスポーツ業界と比べて利益も少ないビジネスを、なぜ続けるのですか?
坂崎 始めたことは、成功するまでやり遂げないと気が済まない性分だからです。
廣川 その後、お嬢さんのミッシェル・和美さんが加わるのですね。
坂崎 彼女は、ワインが日常的に溶け込んでいるミラノで6年間ファッションの仕事をしていました。その後、ニューヨークで責任者として働き詰めの日々を送っていて、その様子を見て、ナパに戻るよう勧め、ワインクラブの仕事を手伝わせることにしました。ところが、それだけでは物足りず、「ワインをつくりたい」と言い出したのです。
廣川 さすが、娘さんもお父さんに負けず劣らず超積極的ですね(笑)。
坂崎 それで「KAZUMI WINES」を立ち上げ、知人が栽培したブドウを使い、ソーヴィニヨン・ブランとカベルネ・ソーヴィニヨンの醸造を始めました。その後、偶然「KOSHU(甲州)」という品種に出会い、私の『魂』に再び火が灯りました。「私はこのためにワインクラブをやってきたのだ」と感じるほどの啓示を受けたように思えたのです。
ケール・アンダーソン氏とミッシェル・和美・坂崎氏ワインメーカーのケール・アンダーソン氏(左)と
ミッシェル・和美・坂崎氏(右)、ヴィンヤードにて

column
12
海を渡った「KOSHU(甲州)」は「大谷翔平」と同じ
廣川 その「KOSHU」との偶然の出会いとは?
坂崎 2017年10月、ナパで大規模な山火事が発生しました。自宅は無事でしたが、裏手にあった小さなヴィンヤードのカベルネが木は全滅してしまいました。途方に暮れていたところ、カリフォルニア大学デイビス校に約100年前に寄贈された「甲州」の苗木が保存されているという情報を耳にし、根だけ焼け残ったカベルネにその苗を接ぎ木して試しに栽培してみました。すると栽培開始から1年弱で驚異の生命力を見せ、青々としたヴィンヤードが甦りました。
事業になると確信し、2019年に地元の大手ヴィンヤードと提携し、約1ヘクタールに接ぎ木を実施しサンプルを醸造するものの、満足いかず再挑戦を重ね、2022年5月にようやく納得できるワインが完成しました。その2か月後、日本でのワイン教育の第一人者である田辺由美先生のご尽力により、OIV(国際ブドウ・ワイン機構)登録品種サミットに「KOSHU」が出品できることに。私自身もパネリストの機会を得られ、完成したばかりのワイン1ケースをハンドキャリーで北海道の会場へ運び込みました。テイスティングしてもらえるのだろうかと内心ドキドキしていましたが、いざ会場で「KOSHU」の前に長い列ができている光景をみて胸が熱くなりました。また、東京でミシュラン三つ星の日本料理「かんだ」の神田さんから、「まさに和食のためのワイン!たまげた!」とオーダーをいただき「虎白」や「鮨さいとう」といった名店もそれに続きました。
KOSHUワインの写真
(左から)Napa Valley Koshu 2024、Sauvignon Blanc 2022、Cebernet Sauvignon 2022、Sparkling Koshu 2023
廣川 ワイン単体では控えめでも、例えばカンパチの刺身と合わせた瞬間、旨みが一気に広がる。それが私の率直な感想です。普段はニコニコした好々爺、でも本番では一気にギアを上げる…まるで坂崎さんそのものですね(笑)。
坂崎 いやいや、「KOSHU」のほうが私なんかよりよほど優秀ですよ(笑)。
廣川 日本の「 甲州 」とナパの「KOSHU」は何が違うのですか?
坂崎 土壌、雨量、風、寒暖差など、育つ「環境」が全く異なります。ナパでは粒の大きさが適度に保たれ、皮がふやけたり裂けたりして菌が入ることがなく、味わいが安定します。
廣川 同じ「種」でも、育つ「環境」でこんなに変わるとは驚きです。
坂崎 「甲州」はナパの環境があったからこそ、「KOSHU」として素晴らしいブドウに進化した。それを信じてやってきた結果、「やっぱり間違っていなかった」と心から思えました。
廣川 かつては価値の引き上げ対象がアスリート、今はワインなのですね。スポーツとワイン、どちらのビジネスが難しいですか?
坂崎 ワインです。スポーツイベントは、我々のアレンジ次第で価値の引き上げが可能ですが、ワインは自然が相手。最終的なブレンディングの段階でしか人の手を入れることができないからです。
ワイン・テイスティングイベントの様子
ワイン・テイスティングイベントの様子
廣川 今後のワインビジネスの展望は?
坂崎 「KAZUMI KOSHU」は、2025年はまた一味違うヴィンテージになりそうですし、今春に完成したスパークリングや秋のピノ・ノワールのリリースなどラインアップが充実してきています。現時点ではまだ知名度の低い「KOSHU」ですが、いずれ世界でシャルドネやソーヴィニヨン・ブランに次ぐ『第三の白ワイン』として認識されると確信しています。アメリカ社会で認められるまで、ある程度の知名度が得られるまでは私が責任を持ってこの事業を続けるつもりです。そしてその段階に到達した際には、娘にバトンタッチする予定です。

column
13
「出会い」は躊躇なく、瞬間でモノにする
廣川 坂崎さんの人生は、数々の運命的な「出会い」によって出来上がっているように思います。そして何より、それらを掴み取る際の判断が非常に早いですね。
坂崎 そうですね。不思議と運命的な「出会い」や「チャンス」が私に巡ってきました。チャンスは誰にでも平等に訪れます。しかし、100人中95人は気付かずに見過ごし、残る5人のうち、実際に行動を起こすのは1人ぐらいです。私はその1人だと思っています。そして、決断は一瞬で下します。
廣川 世界的なスポーツイベントにしても、ナパの立地や「KOSHU」との出会いにしても、まだ誰も注目していないもの、あるいは他の人には無意味に映るものに目を向け、見極め、即断し、粘り強く育てていく。その結果として独占的で独創的な価値が生まれるということなのですね。たとえ、W杯の権利はく奪や山火事という「悲劇」があったとしても。
坂崎 山火事がなければ、この苗に光が当たることも、「実験」を試みることもなかったでしょうし、大手のヴィンヤードも協力してくれなかったと思います。
対談後の打ち合わせ風景
対談後の打ち合わせ風景(ジャックK・坂崎邸にて)
廣川 本日は、体験に裏打ちされた非常に示唆に富んだお話を伺うことができ、大変満足しております。
ありがとうございました!

 

【補足】
対談後の2025年4月・5月にかけて、「KAZUMI WINES」はアメリカ国内の「FOX-TV」や「SF Chronicle」といった主要メディアで大々的に取り上げられ、その知名度は急速に高まってきています。

 

「90 PLUS WINE CLUB」について
90 PLUS WINE CLUB 日本事務局
〒150-0013
東京都渋谷区恵比寿1-23-15-1104
TEL: 03-5768-4307
Email: info@the90pluswineclub.com
https://www.the90pluswineclub.jp/

 

「KAZUMI WINES」について
Email:info@kazumiwines.com
https://www.kazumiwines.com/

 


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現場からのセレクト情報

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PICK UP01

ガラスのような美しさが魅力の割れないワイングラス

トライタン™ワイングラス
廣川株式会社は、ガラスのような透明感と光沢を持ちながら、割れにくく傷がつきにくい耐久性を備えた「トライタン™ワイングラス」を販売しています。

※トライタン™は、医療器具の製造をするイーストマン・ケミカル社(アメリカ)が開発した、「コポリエステル樹脂」という合成樹脂です。

「トライタン™ワイングラス」は、下記6つの特長があります。
(1)美しい見た目
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割れにくく傷がつきにくい素材で、長い期間使用が可能な点
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(5)幅広い温度対応
冷凍から熱湯まで対応可能(※)な優れた耐冷・耐熱性を備えており、さまざまなシーンで便利に使用できる点
※-20℃~100℃まで対応可能
(6)環境にやさしい
耐久性が高いため繰り返し使用でき、廃棄物を削減し環境保護にも貢献する点
このように、「トライタン™ワイングラス」は、美しさだけでなく機能性、安全性、実用性を兼ね備えた万能な製品です。当社では、ワイングラス以外にもトライタン™のマグカップやパフェグラスなど多様な形状を取り揃えています。家庭や業務利用を問わず幅広いシーンで活躍します。食品容器についてのご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
(エースパック事業部)

PICK UP02

紙製なのに、水に強い!手軽に使えるワインクーラー

廣川株式会社は、「紙は水に弱い」という常識を覆す画期的なワインクーラーをご提案します。この商品は耐水性に優れた紙にプラスチック製フィルムを貼り合わせ、さらに水が漏れにくいよう工夫した特別な構造をしているため水に強く、氷と水を長時間入れても問題なくワインクーラーとして使用することができます。
近年では、インターネットショップでワインなどのお酒を購入される方が増えています。販売店は、このワインクーラーをワインボトルにかぶせた状態で同梱することで、かさばることなく手軽に発送できます。商品を受け取った消費者は、そのまま外出先に持ち運ぶことができ、場所を選ばずすぐにワインを冷やして楽しめます。使用後は小さく丸めて燃えるゴミとして簡単に処分できます。

右図のように、段ボールを開くとワインクーラーが覆いかぶさっておりそのままワインクーラーとして使用できます。
(外部リンク)過去実証動画はこちら

水に強い紙製のワインクーラー

PICK UP03

消費者の購買意欲を刺激し、売上単価アップに貢献する「価値ある」ドリンクカップ

廣川株式会社は、販売者、消費者、そしてスタジアム運営者の三者にとって価値を生み出す特別なドリンクカップ「スーベニアカップ」を販売しています。スポーツ観戦で活躍する「スーベニアカップ」は、単なる資材を超え、ファン心をくすぐる特別感を演出しながら収益拡大やプロモーション効果にも繋がる画期的なアイテムです。これは、消費者に特別な価値を提供する一方、販売者にとっては消費者一人当たりの購入単価がアップするため、収益拡大の絶好の機会となります。また、このカップは、飲み物だけでなく軽食を入れるフード容器としても活用できます。食事や飲み物を楽しみながら好きな選手やチームのデザインが施されたカップを手にする喜びは、消費者の満足度をさらに高めます。そして、飲用後もお土産や記念品として持ち帰りたくなるため、イベント会場での販売戦略において強力なアイテムとなります。また、魅力的なグラフィックデザインはSNSでの共有や拡散を促し、話題性を生むプロモーションツールとしても優れています。消費者による2次利用を通じて、球団やチームの認知度が高まり、新たなファンの獲得に繋がります。その結果、チケット売上の向上にも寄与する可能性もあります。さらに、リユース可能な仕様により環境への配慮も実現し、持続可能なイベント運営に貢献できる点も現代のニーズに応えるアイテムとして評価されています。「スーベニアカップ」は、消費者に特別な体験を届け、販売者の収益を高め、スタジアム全体の盛り上げにも貢献する商品として、関係者全員に嬉しい結果をもたらします。スポーツ観戦の時間をより魅力的にする「スーベニアカップ」の価値を、ぜひさまざまな場面でご活用ください。(プロテック事業部)
スーベニアカップ

 

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現場からのセレクト情報

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PICK UP01

寿司文化の進化系!専用トレーが支える、妊婦に優しい加熱寿司

加熱寿司
廣川株式会社は、「『妊婦は寿司NG』の常識破る」という渡邊愛さんの想いを実現するための専用トレーを開発しました。一つひとつ手作りされた加熱寿司の形状を崩さずに届けるためのトレーは、これまで世の中に存在しませんでした。そこで当社は、寿司の形状と美味しさをしっかりと保持する専用トレーを開発すべく、一から金型を設計し、試作を重ねました。その徹底したこだわりの末、加熱寿司の商品化が実現しました。妊娠中の食事における課題を解決する加熱寿司は、「妊婦に安心して寿司を楽しんでもらいたい」という思いから、多くの家庭で共感を広げています。実際に、この商品は妊婦を気遣う男性による注文が約7割を占めるなど、家族の間で深い支持を集めています。
また、当社の専用トレーは、中心部を75°C以上に加熱することで安全性を保証する加熱寿司の仕組みを支えています。さらに、通常以上に健康に気を遣って生活を送る必要がある妊婦が安心してお寿司を食べられる機会の創出にも貢献しています。現在、国内販売が順調に拡大する中、「加熱寿司」が世界の「KANETSU SUSHI」になることを夢見て、更なる改良を続けています。当社は、妊婦が安心して食事を楽しめる選択肢を、日本国内だけでなく、世界中に広げるという渡邊さんの挑戦に強く賛同しています。これからも食の喜びを届ける商品を開発し、安心で笑顔あふれる食卓を提供する企業として歩み続けてまいります。(エースパック事業部)
【加熱寿司 代表 渡邊愛さんプロフィール】
新卒で大手食品メーカーに入社し、営業・海外駐在・マーケティング部を経験。2021年に地元福岡へUターンし出産。自身の妊娠中に食事が制限され、食べたいものを食べれなかった経験をきっかけに、生ものを控えている方も安心して食べられる「加熱寿司」を企画、開発。クラウドファンディング成功を経て2022年6月に独立。「第4回子育て支援大賞2023」を受賞。製造から販売まで手掛け、「加熱寿司」で食の可能性を広げる挑戦を続けている。

PICK UP02

和の花と米がつむぐ、「米花水maikasui」

米花水maikasui
廣川株式会社は、日本盛株式会社様が販売する手のスペシャルケア商品「米花水maikasui」のパッケージを受注・製造しました。この商品は、「麴を扱う杜氏の手が白くてきれい」と言われている点に着目し、独自の酵母や米・発酵由来成分、和の花(ハマナス・サトザクラ・ツバキの花エキス)を配合したハンドクリームとネイルオイルです。「米花水maikasui」は、「和の花」からインスピレーションを得た日本らしい美しさと繊細さを表現したグラフィックデザインが採用されています。当社では、このグラフィックデザインを踏まえ、紙の選定および印刷加工を提案しました。商品の世界観を表現するため、FSC認証パルプと非食用米を再利用したアップサイクル素材「Komekami-FS」を採用。オフホワイトの温かみやパルプ特有の柔らかな質感を持つこの紙は、商品コンセプトと深く調和しています。また、素材本来の質感を最大限に活かすため、印刷加工はあえて施さず、立体浮き出し加工で「和の花」を表現することで、温かみのある仕上がりを追求しました。さらに、「米花水maikasui」はイギリスのヴィーガン協会で認証を取得しており、動物由来成分を一切使用していない環境配慮型の商品としても評価されています。 「Komekami-FS」は、アップサイクル素材として環境への貢献も期待され、商品の理念とも深い親和性を持っています。当社は、商品の持つ価値やメッセージを手に取った消費者の方々へ伝えるためのパッケージづくりを提案しています。お客様の伝えたい想いを是非お聞かせください。(パッケージ事業部)

PICK UP03

首里城の歴史と沖縄文化を感じる「首里城紅型柄エコバッグ」

首里城紅型柄エコバッグ
首里城紅型柄エコバッグ
首里城公園内のショップで販売中
廣川株式会社は、一般財団法人沖縄美ら島財団からの依頼を受け、琉球王国時代の伝統的な紅型柄をモチーフにした「首里城紅型柄エコバッグ」の製造を承りました。このエコバッグは、紅型柄を取り入れたグラフィックデザインが特長で、沖縄の象徴を日常生活で楽しめる商品です。首里城は、琉球王国時代の十四世紀頃に創建されたといわれ、中国や日本の文化が混合する琉球独特の城です。沖縄戦で焼失しましたが、1992年に正殿をはじめ一部が復元され、その後2019年に火災により焼失、2026年の正殿復元に向けて工事を進めています。2000年には世界遺産にも登録されました。そんな首里城の文化を取り入れたこのエコバッグの紅型柄は、首里城正殿や守礼門、城壁などをモチーフにしています。また、広いマチ付きで弁当箱も収納可能な実用性を兼ね備えています。当社では、日常のひとときに伝統の美しさを感じられる商品作りを目指しています。このバッグをお土産として持ち帰ることで、首里城の歴史や琉球文化とのつながりを実感し、旅の記憶がより鮮やかなものになると考えます。沖縄文化への理解を深め、新たな発見や喜びにつながる商品をお届けしたいという想いを胸に、これからも積極的に商品作りに邁進してまいります。(プロテック事業部)


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NEWS CLIP

日本と欧米のパッケージング業界に精通したパッケージマイスター森泰正氏による寄稿コーナーです。
英国生まれ、米国育ちの再生紙94%の超軽量ワインボトル
本号の対談に登場されたジャックK・坂崎氏は、現在はワインで名高いサンフランシスコ北部のナパバレーに居を構え、次女のミッシェル・和美さんと共に愛娘の名前を冠した「KAZUMI」ブランドのワイン造りを楽しんでおられる。サンフランシスコ南部のKing Cityを拠点にするMonterey Wine社は、地元カリフォルニアワインを始め、スペイン、チリ、イタリアから輸入したワインのボトラーだが、この春米国の大手スーパーマーケットTargetのハウスワイン「Collective Good」を紙ボトルに詰めて発売した。
木質繊維由来の再生紙を外装のボトルに加工、ボトルの内部はワインの酸化を防ぐアルミ蒸着ポリエチレン内袋を装着したもので、昨年春にこれも米国大手スーパーのWhole Foodsの限定店舗で試験販売された後、Targetは全米1,200店舗で本格販売することを決めた。この紙ボトルを製造している英国のFrugalpac社によれば、750mlのフルボトルの重量は従来のガラス瓶の1/5程度の軽さで、誤って落としても割れることはなく、素材の94%に再生紙が使用されているという。ワインを飲み終えた後は、ボトル内部のポリエチレン袋を外せば、段ボールや雑紙のリサイクルストリームで一緒に回収、再生ができる。最近、米国7-Elevenの西海岸各州の店舗でも販売されることが決まったという。

責任編集 :株式会社パッケージング・ストラテジー・ジャパン 森 泰正
Frugalpac入りの「Collective Good」ワイン
2025年4月、全米のTargetのワイン売り場に一斉に並んだFrugalpac入りの「Collective Good」ワイン
飲み終わった後のリサイクル方法

 

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パケトラ | pake-tra.com

スーパーボウルを彩るパッケージ
2025年のスーパーボウル(スーパーボウルLIX)は、世帯平均視聴率が41.7%、世帯シェアが83%を記録し、ストリーミングメディアも含めると平均視聴者数は1億2340万人で、米国最大のスポーツイベントとなりました。パッケージ分野の調査機関Design Analyticsによれば、スーパーボウルのコマーシャルは、ブランドデザイン(パッケージと特徴的なブランド資産)が、広告画面時間の41%を占め、一部のブランドは画面時間のほとんどをブランドデザインに割り当てていると分析しています。今回は、そんなパッケージが彩るスーパーボウルのコマーシャルを取り上げてみました。
スーパーボウルのイメージ

第1位 Budweiser(バドワイザー)「First Delivery」

米国唯一の全国紙USA Todayは毎年スーパーボウルの広告を消費者を含めたパネラーの投票により「USA TODAY Ad Meter」としてランキングしています。今年の1位はBudweiserが選出されました。Budweiserの歴史をアピールしたCMが見事に「USA TODAY Ad Meter」による好感度トップになりました。まだ配送に馬車が使われていた時代に、1頭の仔馬が思わぬ事故で取り残されてしまい、ビール樽を運ぶ様子が描かれています。

記事の続きは「パケトラ」でチェックしてみてください。
(外部リンク)スーパーボウルを彩るパッケージ


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お取り寄せのパッケージ

厳選パケ買いスイーツ
一切れごとに絵柄が変化する羊羹のワンシーンをイメージした幻想的なパッケージ
『羊羹ファンタジア Fly Me to The Moon』
「羊羹ファンタジア Fly Me to The Moon」のパッケージ
「羊羹ファンタジア Fly Me to The Moon」の中身
創業1848年「株式会社長門屋」は、福島県会津若松市で6代続く和菓子屋です。和菓子の伝統的な製法を継承しつつ、新しい食べ方を提案する「PONTEシリーズ」を展開しており、今回ご紹介するのはその第3弾「羊羹ファンタジア Fly Me to The Moon」です。切るたびに絵柄が変わるストーリー性のある羊羹で、切り分けるワクワク感も楽しめます。伝統技法を現代に伝えていきたいという想いで意気投合した、同じく福島県出身の日本画家・舛田玲香さんの描き下ろしパッケージで、星が輝く夜空に舞う鳥と鮮やかな花々が幻想的に描かれているのが印象的です。月と鳥というシンプルなモチーフのため、冠婚葬祭のさまざまなシーンで用いられ、食べ終わった後も思い出とともに残しておきたくなるパッケージです。

株式会社長門屋 本店
〒965-0865
福島県会津若松市川原町2-10
電話番号:0242-27-1358
営業時間:9:30~17:00
定休日:日曜日
https://nagatoya.net/(外部リンク)

 

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New Packnology

包装業界に関する最新技術の情報をお届けするニュー「パクノロジー」

ブラックライト印刷による偽造・不正流通対策

近年、各種メーカーや流通関係者においては、信頼確保やブランド価値の維持、厳格な流通管理がますます重要視されています。そのなかで特に「製品の真正性」を証明する必要性が高まっています。並行輸入品や逆輸入品など正規ルート以外で流通した商品の模倣品や偽造品が、サポートや品質保証の対象外であったり、市場価格の混乱やブランド価値の毀損につながるといった理由で、メーカーにとって深刻な課題となっています。当社にも化粧品や家電製品を扱うお客様から模倣品や偽造品の市場流通に悩んでいるというお声をいただくことが多くなりました。こうした課題への対策として、当社では「ブラックライト印刷」技術をご提案しています。
ブラックライト照射前後の見え方の比較ブラックライト照射前(左)と照射後(右)
ブラックライト印刷とは
紫外線(UV光)を照射すると発光する特殊インキを使用した印刷技術です。通常の照明下では無色透明のため、製品デザインやブランドイメージに影響を与えず、製品やラベルに目立たない形でセキュリティ要素を実装できます。従来のホログラムや特殊シールと比較してランニングコストを抑えられる点も大きな特長です。主なメリットと用途
・返品時の真贋判定
卸先や小売店舗からメーカーへ返品される商品についても、ブラックライトを使えば短時間で真正性の確認ができ、不正な返品や模倣品・誤返品のリスクを大幅に軽減します。
・コストパフォーマンス
高価なセキュリティラベルやホログラムと比較して低コストで導入でき、安価な商品や大量流通製品にも適用可能です。
・幅広い応用
一般製品への導入だけでなく、イベントの入退場管理用チケット、各種証明書・保証書など、多彩な分野でご利用いただけます。

導入事例と反響
・低価格帯の商品でも、海外市場で流通量が増加したことにより、正規ルート外から流通する模倣品対策として導入された例があります。
・ネット通販などで流通したコピー品の返品時に、現場で簡易な真贋確認が可能となったことで評価されています。
・他の偽造対策技術と比較して導入コストや運用負担が小さく、メーカー担当者様や流通現場でのスムーズな運用、業務効率化に繋がっています。

導入をご検討の業界関係者様へ
家電や化粧品などのブランド保護や流通管理を強化したいメーカー様はぜひ一度ご相談ください。サンプルや詳細資料のご用意も可能です。お気軽にお問い合わせください。


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廣川社員のオススメ情報

営業先のおいしいお店
落ち着いた雰囲気の中で堪能する
日本各地の厳選食材と絶品料理
今回ご紹介するのは、大阪市茶屋町にある『農絆卓恵』(ノウハンタッケイ)です。このお店では、日本各地の特産品を楽しめるのはもちろん、落ち着いた雰囲気の中で食事を堪能できると評判です。ランチで注文したのは、一口サイズのかわいらしいおにぎりが並ぶセットメニューです。こだわりの2種類の厳選されたお米を使ったおにぎりや、色々な地域の味噌や魚、小皿に盛られた多彩なおかずを楽しむことができます。特におすすめしたいのが、新鮮な鳥刺しを味わえる点です(おかず内容は日替わりです)。自社農場で丁寧に育てた鶏を使用し、安全性に配慮して提供されるため、安心してその美味しさを味わえます。さらに、このお店で使用している食材は、1階の直売所で購入することもできます。店内で味わった美味しい料理の食材を自宅でも楽しめるのは嬉しいポイントです。もちろん、おすすめの鳥刺しも購入できます。さらに、ディナータイムには厳選された日本酒やクラフトジュースも豊富に揃っているとのことで、次回は是非、夜にも訪れてみたいと思います。お近くにお越しの際は、こだわりの料理を是非お楽しみください。
農絆卓恵のランチ
農絆卓恵の外観
農絆卓恵(のうはんたっけい)
住所:〒530-0013 大阪府大阪市北区茶屋町2-25
※1階が物販フロア、2階が地産美食の小皿料理フロア、3階が炭火焼とお酒フロア
TEL:06-6690-8878
アクセス:大阪環状線「大阪」駅 徒歩7分/大阪メトロ御堂筋線「梅田」駅 徒歩6分/
阪急京都線「大阪梅田」駅 徒歩3分/大阪梅田駅(阪急)から144m
駐車場:なし
営業時間:11:30~15:00/17:00~22:00
営業曜日:月~土
定休日:日曜日

 

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今月のプレゼント

フットボールチーム「フィラデルフィア・イーグルス」の優勝記念Tシャツをプレゼント!
「フィラデルフィア・イーグルス」の優勝記念Tシャツ
【Tシャツサイズ】
胸囲約90cm、着丈約74cm
今月は、「フィラデルフィア・イーグルス」の優勝記念Tシャツを3名様にプレゼントします。

「フィラデルフィア・イーグルス」はアメリカ東海岸、ペンシルバニア州フィラデルフィアを本拠地とするチームで、第59回スーパーボウル※(2024年)で7年ぶりに優勝しました。このTシャツは優勝後、選手や監督が優勝セレモニーやメディア出演時に着用した特別なモデルです。
※スーパーボウルとは、アメリカンフットボールのプロリーグ「NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)」の優勝決定戦のこと。

是非ご応募くださいませ!応募締切:2025年10月31日
※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。
※サイズは1サイズのみとなります。

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