2024年10月04日 P&Ptimesインフォメーション

ハイブリッド | P&Ptimes vol.25


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パッケージとプロモーションで
「お客様の想いをカタチに」

P&Ptimes

vol.25
October 2025

パッケージ&プロモーションを手がける会社が発信するP&Ptimes_vol25 | 世界のパッケージの「今」と「これから」を俯瞰し、司馬遼太郎のような視点で日本のパッケージ業界の「開国」を後押しする|みなさんは「パッケージング・ストラテジー・ジャパン e-Newsletter」というネット配信誌をご存じでしょうか?欧米の複数の契約先から毎日のように送られてくる膨大な包装業界や包装資材にまつわる記事の中から、日本の業界関係者にとって有意義かつ海外進出のヒントになると思われるものがピックアップされ、その信憑性を担保するための関連データや画像の収集と編集、そして日本語翻訳を経て毎月途絶えることなく1日と15日に配信されている。

Topic
1
P×Ptalk

第4回 廣川信也 × 森泰正氏 
世界のパッケージの「今」と「これから」を俯瞰し司馬遼太郎のような視点で日本のパッケージ業界の「開国」を後押しする
P×P talkとは?
「P×P talk」は、当社代表廣川信也が各界で活躍するリーダーと、ビジネスや人生について語り合う対談企画です。
今回の対談のゲストは、このPSJを前社長の有田氏時代から通算し25年以上にも亘り編集と配信を続け、当社が運営する世界のパッケージ&プロモーション情報発信サイト「パケトラ」(https://pake-tra.com/)で「ご意見番」を務めて頂いている森泰正氏です。
第4回目は、株式会社パッケージング・ストラテジー・ジャパン 森泰正氏です。

対談の全編はYouTubeでご覧いただけます。

株式会社パッケージング・ストラテジー・ジャパン 森泰正氏

PROFILE
株式会社パッケージング・ストラテジー・ジャパン 取締役社長
森泰正氏もり やすまさ
1972年 東京外国語大学 外国語学部 ロシア語学科卒業後、現三井化学株式会社(当時の三井石油化学工業)に入社。
当時から海外マーケティングに興味があり、米国デュポン社との合弁会社である三井・デュポンポリケミカル株式会社(現三井・ダウ ポリケミカル)に出向。その中1988~1990年(2年間)は米デュポン本社に勤務。2009年に同社を退職した後、三井物産株式会社にシニア・パッケージ・アナリストとして勤務。
2015年から、米国の著名なパッケージング情報誌Packaging Strategiesと契約し、欧米の最新パッケージング事情を日本語に翻訳し隔週で日本の購読者に提供、同誌を通じて日本の最新パッケージング技術を海外の読者に発信している。その他にも、海外で開催される包装会議や展示会に日本の読者を案内したり、欧米のパッケージング専門家を日本に招聘し講演会を開催して、日本と海外のパッケージング業界のパイプ作りと交流を図っている。

廣川 対談に入る前に今年10月開催の「2024東京国際包装展」の初日に世界と日本の包装業界の橋渡しを目的としたグローバルセミナー&シンポジウムのモデレーターをお努めになるという話を聞いたのですが。

 はい、米国軟包装協会会長でもあり軟包装の売上世界トップの包装メーカーAmcor社の最高技術責任者でもあるウィリアム・ジャクソン博士の基調講演後に、同氏とバリアフイルムや製袋技術、スパウトパウチなどの分野で同じく世界NO.1のシェアを誇る日本企業の代表者とのパネルディスカッションを開きます。

廣川 めったにない機会ですので、本誌をご覧の方でこのシンポジウムにご興味をお持ちの方は(残席があるかどうかはわかりませんが)申し込みをすると良さそうですね。(画像リンクから)ちなみに弊社も久々に「儲けの包程式」というタイトルのブースを出展しています。なんだか当社のコマーシャルっぽくなってしまいました(笑)

column
01
「大志」を抱き続ければいつか
「天命」訪れる
社長同士の対談の様子
廣川 PSJ(株式会社パッケージング・ストラテジー・ジャパン)の社長をお引き受けになられた経緯をお聞かせください。

 2005年に米国包装殿堂入りし、2023年に世界的な包装団体の組織である世界包装機構が認定する「生涯包装功労賞」を日本人として初めて受賞されるほど世界の包装業界でよく知られている有田俊雄さんから2015年にバトンを引き継ぎました。
私にとっての包装の師と言うべき存在ですが、有田氏の包装業界に掛ける情熱とそれまでの努力を絶対に無にせず持続したいという思いからです。もうひとつの大きな動機は作家の司馬遼太郎の存在です。実は彼の後を追って産経新聞の文芸部に入り、やがては小説を書きたかったのですが、希望通りというわけにはいかず、化学関係の会社(現三井化学株式会社)に就職することに。

 当時の素材メーカーの立場としては、取り扱う素材を使用したパッケージが最終の消費者に届いて、消費者の心を掴まないと激しい競争に勝つことができませんでした。かつ、素材メーカーが中間を飛び越えてエンドユーザーと話をしてはいけないという商慣習がありました。その認識を打ち破ってくれたのが送り込まれた当時親会社であった米国デュポン社への出向経験でした。そこでは積極的なエンドユーザー訪問が可能で、顧客ニーズの掘り起こしなど、実践的なマーケティングを経験しました。
「物書き」の道は諦めましたが、ある意味ジャーナリスト的な視点で仕事を進めてくることができました。したがって退職後に有田氏からこの事業の継承のお話を頂いた際に、海外からの情報を司馬遼太郎のような視点で紐解き、編集・翻訳し、その情報を待つ人々にお届けできるというのは自分のライフワークそのものではないか!と思いお引き受けしたのです。

廣川 そうだったのですね!僕はてっきり理工系の学部を卒業してエンジニアとして化学関係の仕事に従事されてきたのだと思い込んでいました。でもこれで合点がいきました。森さんの記事にはいつも次の何かを期待させる余韻のようなものを感じます。これぞまさに司馬遼太郎イズムなんですね(笑)
「パッケージ×海外×マーケティング×文章力」、まさに森さんの経験と意志が掛け合わさったワークで、若いころに抱いた大志を諦めることなく抱き続けていれば、やがてそれが活かせる時機が巡ってくるということですね。

column
02
海外で戦うためには「技術」を「ビジネス」に変える努力
マーケティングが重要
廣川 海外の包装業界におけるグローバル企業は日本の包装業界・企業をどう見ているのでしょうか?例えばM&Aの対象として捉えているのでしょうか?
 一言でいえば「ガラパゴス」です。日本人の感性で芸術的なものをつくるがこれは世界で共有できるものではなく特殊な技術であると。それを世界で誰もが使える共通の技術に育て、反対に世界の技術をどんどん国内に取り入れていくための後押しをすることが私の願いです。総じて日本の事業家の腰は重いです。
廣川 それはもったいないことですね。
私も海外に行く機会が多いですが、例えばシュリンク包装一つとっても日本では「ここからお開けください」と親切にナビゲートしてくれるが、海外のそれはイライラするばかり。そういうものを海外で展開すればいいのに広がらないのは日本の努力不足でしょうか、それとも海外ではそもそも必要ない技術なのでしょうか?
廣川信也
 前者です。つまりマーケティング力の不足です。目利きの鋭い海外企業はすでに日本からのライセンス供与を受けて現地生産している企業もいますが、まだほんの一握りです。例えば、ペットボトルの回収率は日本では90%で「ボトルtoボトル」の再生率も50%を目指していますが、世界最大需要国であるアメリカのそれはまだ30%程度です。残りは埋め立てに回され、それが海に流出しプラスチック問題の元凶になっている。日本に学ぶべきことはたくさんあるのにこれが伝わらないのは、例えば海外の会社と提携するといいとこ取りされてビジネスにならない、だから情報や技術は開示しないでおこうという日本の風潮、こういったことも含めて日本の努力不足なのです。
廣川 円安もあるでしょうが和食や日本文化などに対するインバウンド需要はどんどん大きくなっているのに対して、パッケージ業界は全く蚊帳の外という感じがするのですが。
 例えば日本には「リペア」あるいは「リメイク」という技術があります。割れた陶器の破片を集めて漆で接着し、繋ぎ目を金箔で塗る。そうすると元のものよりも価値が上がるという日本古来の「金継ぎ」という伝統技術の紹介を海外の展示会で行った時にとても大きな反響がありました。こういった日本に宿る古いものを修復して価値を上げていくといった技術は必ず包装にも活かせるはずです。例えば日本に来た外国人観光客に金閣寺をみせて「バブルの産物だ」と誤解させるのではなく、「リペア」「リメイク」技術のお手本として捉えてもらうようにしなければなりませんね。
廣川 なるほど必ずしも新しい技術でなくとも日本に古くから伝わるそれを用いれてもう一度「モノづくり大国・ニッポン」として海外にチャレンジできる!そんな勇気を今のお話でいただきました。日本の伝統技術や精神を海外で必要とされるニーズに向けてマーケティングすることが重要なのですね。

column
03
これからのプラスチックが進む道は
「ハイブリッド化」と「モノマテ化」
廣川 当社はプラスチック系(以下プラ)と紙系両方の包装資材を扱っていますが、日本のプラスチック成形容器メーカーは、サステナブルなテーマの話になるとどうしても一歩引いてしまう傾向にありますが、僕は、プラはプラとしてその優位性(あるいは使用上の必要性)と環境に与える影響のその両方を合理的に説明する必要があると思っています。
 プラ軟包材においても、かつては成形容器に比べて格段に軽くて薄くて丈夫、さらには複数の素材を貼り合わせることで様々な機能を有することができるとして、「パッケージ業界の優等生」としてもてはやされていましたが、これも脱プラや素材の張り合わせによるリサイクルの難しさという問題に直面し逆境に立たされています。
しかし「紙が本当に環境にいいのかどうか」については議論の分かれるところです。消費者は紙の原料の樹木は生育時に二酸化炭素を吸収するので、カーボンニュートラルだと理解していますが、紙だけではパッケージは成立しない。プラと組み合わせなければ消費者が満足する機能は持てないという事実も認識しておく必要があります。私はこの問題の解決には、

  • 紙とプラのよさが融合されたハイブリッド型パッケージ
  • 従来と同機能を有しながらもリサイクルが容易なモノマテリアル(単一素材)(以下モノマテ)型パッケージの2つしかないと思っています。
Zetofoam社のCircular Packagingシステムを使用したパッケージ例
Zetofoam社のCircular Packagingシステムを使用したパッケージ例

HDPEモノマテリアルの100%再生可能な画期的な飲料容器HDPEモノマテリアルの100%再生可能な画期的な飲料容器

 後者のモノマテに関して言うと、例えば日本ではモノマテ技術は必要ではないと指摘を受けることもありますが、これでは世界の動きを見ていないということになります。
世界各地で包装廃棄物に対する規制がますます厳しくなる中、紙とのハイブリッドや、モノマテ技術を極めてこれを乗り越える必要があります。この潮流を見過ごしていると日本の技術に対して誰も見向きもしなくなります。
廣川 今の話を聞いて「リ・インベンション(再発明)」という言葉を思い出しました。技術は新しくなくとも、それを提供する市場や用途を新たに構築するだけで新たな発明と同じだけの影響を与えることができるということで、既成技術のモノマテがこれから市場を席巻していくということですね。
 その好例が今年6月15日号のPSJで紹介されている「画期的なHDPE/r-HDPE多層モノマテリアル無菌飲料カートンの商業技術誕生」という記事です。
これは飲料紙パックと同じ形状の高密度ポリエチレン(HDPE)を用いたモノマテ微発泡のプラスチック容器です。HDPEの加工工程で窒素を注入し、容器を組み立てる熱で微発泡することで、容器の断熱効果が増し、紙や他の飲料ボトルより軽くて丈夫になります。
飲料用紙パックは、紙とプラ、さらにはアルミ箔の複合容器なので、リサイクルは困難です。同じ機能を持ち、リサイクルが容易なポリエチレンのモノマテリアル容器というわけで、世界で年間3,000億個もある大きな市場に参入するという大志を抱いたオランダのベンチャー企業が挑戦を始めました。既存の充填包装設備を一部改造すればそのまま使えるのでエンドユーザー側に設備投資がほとんどかからないというのも大きなメリットです。すでに上流のケミカルリサイクル技術をもつ企業や下流のリサイクル業者ともタイアップして水平リサイクル(パックtoパック)の実現に向けての取り組みにも挑戦しています。その高い志に敬意を表します。
廣川 まさに「リ・インベンション(再発明)」ですね。こういうワクワクするような記事がこれからの日本の包装業界を担う世代へのエールになっていくのですね。

column
04
「環境」と「繁栄」とは
共存させなければならない
廣川 最近「サステナブル疲れ」ともいうべきEV車販売の落ち込み、先進国と新興国との間の足並みの乱れ、特に我が国においては円安や実質賃金が物価に追いつかないことから生まれる消費低迷による環境性より経済性の優先といった現象が起こり始めています。僕はサステナブルな行動や選択を継続させるためには「ストイック性」ではなく「エンターテインメント性」が必要だと思っています。つまりサステナブルは楽しくなければ長続きしない、と。その「楽」には「エンターテインメント」(楽しい)と「イージー」(楽する)の2つの意味があり、いずれかがなければ消費者は継続的には受け入れないのではないか?と思っています。
 そうですね。例えば今年のe-newsletterの1月31日号で紹介した「世界包装機構WorldStar賞2024」の受賞作品であるレンゴーさんの宅配ピザ容器はそれに当てはまります。段ボールという「リサイクルの優等生」素材でできたボックスが、それを野球やサッカースタジアムに見立てることで包装・輸送容器としての役割を超えて、友人や仲間との体験共有のツールになり、使用後もミニチュアスタジアムに見立てて楽しめるオブジェにもなっています。
日本ピザハット株式会社とレンゴー株式会社の共同開発|ピザハットトリック BOX ハットスタジアム BOX
日本ピザハット株式会社とレンゴー株式会社の共同開発
ピザハットトリック BOX ハットスタジアム BOX
廣川 つくる側からいうと通常のボックスに上記のような仕掛けを施してもコストはほとんど変わらない。つまりコストをかけずにブランドロイヤリティのアップが図れるというわけです。当社でも高機能紙トレイの提供を始めています。
紙ゆえに全面印刷が可能、さらに内面にフイルムが貼ってありトップフイルムと相まってバリア性も確保、使用後は紙とフイルムを分別廃棄できるという(手前味噌ではありますが)優れものです。この容器を売り場で積み上げればかなりのディスプレイ効果が得られます。単にプラ容器の代替品というだけでなく売り場でのエンターテインメント性があって初めて市場で支持されるものと思っています。
とはいうものの本当に「環境への取り組み」と「事業会社の繁栄」は共存できるのでしょうか?
高機能紙トレイ
高機能紙トレイ
 現在は世界のどこでも厳しい事業環境にあります。2018年頃にエレン・マッカーサー財団がプラの環境汚染問題を取り上げたことから一気にこの考えに賛同する企業が増えましたが、各社が高い目標を掲げすぎてその達成が難しくなっています。最近は大手メーカーもできないことにははっきり「NO」と言い、できることからやっていくというスタンスに変わってきています。その筆頭がユニリーバ。サステナブルの旗は降ろさないけれども、達成ゴールを2025年から2030-35年に延長しました。アメリカでも計画の見直しをする企業が増えています。ウクライナ侵攻によるサプライチェーンの問題も懸念事項です。投資家も利益が上がらない企業からは手を引くところも出てきました。潮目が変化しています。ただ、ここを乗り切らないと次の世代に負の遺産を引き継ぐことになります。ここで立ち止まるわけにはいかないところまで地球の環境は悪化しています。道のりは険しく長いですが、今こそ消費者と一緒になって地に足つけ、遊び心(エンターテインメント性)を失わず、楽しみながら気候変動やサーキュラリティに取り組もうというリーダーの登場が待たれます。「リ・スタート」です。
それを受けて世界各地で現実的な取り組みが始まっています。例えばe-newsletterの2023年6月30日号の「使用済みのつめかえパックの水平リサイクル技術を具現化」という記事で、モノマテではなくマルチ・マテリアルの水平リサイクルを紹介しています。花王とライオンという大手2社が組んで素材メーカーから流通までのバリューチェーン全体と消費者を巻き込んでの取組みで、回収された素材がパウチに使用可能な高品質のフイルムに再生されるというスキームです。これは欧米には見られなかった動きで、パッケージの機能を大事にする日本ならではの取り組みですが、オールジャパンで世界をビックリさせるようなゲームチェンジを実現させたいものです。
「環境」と「繁栄」は共存できるかどうかではなく、共存させて、次世代にタスキを渡したいと思います。

column
05
「エネルギー回収」(=サーマルリサイクル)は
「技術立国・ニッポン」復活のカギ
廣川 「ボトルtoボトル」の水平リサイクルはすでに普及し尽くした感があるものの、「トレイtoトレイ」のそれは素材の選別や洗浄の問題もありなかなか進まない。そのあたりをどう見ておられますか。
 リサイクルが本当に難しいものはそれにこだわる必要はないと思っています。というのも日本は回収ごみの約7割をエネルギー回収(サーマルリサイクル)していて、これは世界に冠たる技術です。そのための施設が全国に約1,200カ所あります。そこで灰にすることで容積は1/50になるので、それが廃棄物として問題になることはほとんどない。エネルギー回収するとCO2を排出しますが、だからダメというのはおかしいですね。

サーマルリサイクルの仕組み
廣川 僕は「地球から借りたものはきちんと返す」ことがサステナブルの定義であり、エネルギー回収(サーマルリサイクル)も最終的には地球から借りたものエネルギーというカタチにして返すことになると考えています。日本のサーマルリサイクルを世界に広げるのは難しいでしょうか?
 例えば一部の東南アジアや北欧やオランダ、ベネルクスの国々ではごみ処理の1/3は日本のサーマルリサイクル技術を採用していて、それがないとリサイクルしても最後は単に燃やすしか方法がなく大変な環境問題になります。ただ世界的に見ると発生した温暖化ガスを回収して地中に埋めるなどして固定化しないと支持は得られないでしょう。ただその技術はどんどん確立され始めているので、日本はこれをセットにして世界に働きかけていくべきでしょうね。この技術は2030-2040年に世界的に発生する太陽光パネルの廃棄問題にも応用できます。日本は最先端を走っているわけなので国を挙げてこれに取り組めば、「技術立国・ニッポン」の復活につながるはずです。

column
06
トップの仕事は
若い世代の活動の後押しをすることにある

廣川 e-newsletterですが、主な購読者層は包装業界のあるいは企業の中間層以上のマネジメント層が中心だと思っているのですが、実際のところはいかがでしょうか?
 e-newsletterを読まれた同世代の方が私に対して「あいつ、リタイアしてもまだこんなことやっているのか!?」と反応してくれて、記事の内容に興味をもって、いろいろな質問をしてくるのです。私は質問大歓迎で、それを通して海外のそれほど大した技術でもないのになぜ彼らが大成功を収めているのか、そのヒントを授けられればいいと思っています。
一方で、最近若い世代の方、特に女性の方からの記事に対する反応が高くなってきます。極めてアグレッシブで、例えば記事に掲載されている海外企業に対し自社の技術を売り込みたいので私の同行を前提にトップに出張の直談判をしたいとの申し出を受けたことがありました。私は行けないので代わりに現地の有能なコンサルタントを紹介することにしたのですが求められるスピードに驚いて「日本の女性は頼もしい、凄い」と絶賛しているようです。
今、このようなZ世代のビジネスマン、特に女性がどんどん誕生しています。
廣川 それは当社でも言えますね。社歴が長くなればなるほど固定観念に縛られて腰が重たくなる。若い世代にはそれがない。特に傾向として男性に比べ女性の方が相手の役職や社会的地位あるいは言語や国籍に縛られずどんどん前に出てくれますね。

 そういう世代からの直接海外に行ってビジネスをしたいといった要求に対してトップがきちんと耳を傾けるようになれば、日本の包装業界も変わってくると思います。
廣川 なるほど、若い世代にモチベ―ションを与えるのが、そしてモチベーションをもった人にトップや上司を説得するための「理論武装」の手助けをするのがこのレターの大きな役割の一つなのですね。
また包装を含む環境問題は次世代までにその課題は積み残さずに全て解決しておかなければならないと思っていたのですが、この対談を通して新たな気づきとなったのは、課題を浮き彫りにしておくことが若い世代の活力になるかもしれないということです。
森さんの師である有田さんの「包装は生活の一部だから、包装を見れば世界・経済・社会すべての動きが分かる」というフレーズに私もいたく感銘を受けましたが、今日の対談で、パッケージを通して世界の動きが見えてきました。
本日はありがとうございました。

Tokyo pack 2024



Topic
2
パケトラ | pake-tra.com

海藻が次世代プラスチックを創る

今、プラスチックの代替品として海藻が注目されています。海藻は全般的に市場から好意的であるものの、依然として成長に苦戦しています。これは、ヨーロッパの海藻の情報が断片化されており、利害関係者が共同で成長を推進するためのノウハウや経験を結集できていないことが原因です。さらに、海藻の大きな可能性が理解されていないため、投資や政策支援も不足しています。

海藻ベースのバイオプラスチック

陸上の材料を使用して作られた他の多くのバイオプラスチックと比較して、海藻の包装は土地と食料の供給をめぐる競争を引き起こしません。生育には淡水も肥料も農薬も必要とせず、海洋生態系の健全性の回復に貢献します。食用および真に生分解性であり、家庭で堆肥化できる海藻から持続可能な包装材料を開発することができます。海藻をベースとした急速堆肥化可能なプラスチック代替品の開発を行うSway社は、クリーンテックの新興企業です。同社の製品は既存の機械との互換性を考慮して最適化されており、従来のプラスチック製造インフラにシームレスに統合されているため、導入が容易です。また、パッケージは家庭用と産業用の堆肥環境の両方で分解します。Sway社は2023年3月にはトム フォード プラスチック イノベーション賞で1位を獲得、トムフォードビューティとエスティローダーが後援するイノベーション アクセラレーターに参加し、製品の拡大を図っています。並行して、イノベーション パートナーである Graf Lantz、Ales Grey などを通じて、主力製品を発売しています。

海藻をベースとしたプラスチックの代替品

記事の続きは「パケトラ」でチェックしてみてください。
(外部リンク)海藻が次世代プラスチックを創る



Topic
3
NEWS CLIP

日本と欧米のパッケージング業界に精通したパッケージマイスター森泰正氏による寄稿コーナーです。
ハイブリッドのモノマテリアル包装
日本でも人気のWerner & Mertzの液体洗剤Froschの詰め替えパウチは、スイスの認定機関からCradle to Cradle Certified試験のすべてのカテゴリでゴールドを獲得した世界初のプラスチックパウチだ。完全にリサイクル可能なパウチは、手で簡単に取り外しできる印刷ラベルとPEのモノマテリアルフィルムのハイブリッドパウチだ。これはWerner & Mertzと世界的な包装会社Mondiによる5年間の共同プロジェクトにより開発された。この特許取得済みのパウチは、印刷されたプラスチックフィルムのリサイクル問題を解決する。パウチの重量の85%は無印刷のため、良質な再生材に転換できる。残りの15%の印刷ラベルはエッジ部が軽く熱シールされているだけなので、これも使用後は剥がして新しい用途に再利用できる。この省資源設計のパウチは、ボトルと比較して70%軽くなった。本体のボトルは再生PEを原料に使用しており、詰め替えパウチから洗剤を詰めて何度でも利用できる。最後に、詰め替えパウチはモノマテリアルなのでリサイクルが容易だ。3R(リデュース、リユース、リサイクル)をすべて実現した世界初のプラスチックパウチだ。

責任編集 :株式会社パッケージング・ストラテジー・ジャパン 森 泰正

3Rを実現した世界初のプラスチックパウチ
ドイツ最大の高級スーパーEDEKAの棚に並んだ日本でもお馴染みの液体洗剤「Frosch」の詰め替えパウチ(2024年6月撮影)。
印刷フィルムは両端のエッジ部を熱で弱シールしているだけなので、手で簡単に剥離できる。



Topic
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お取り寄せのパッケージ

厳選パケ買いスイーツ
パッケージと調和し、日本の美を感じる『うちわ飴』
浅草にある飴細工アメシンは、日本随一の技術を誇る伝統飴細工の専門店です。手作りで生み出される芸術的な商品は、友人や家族へのプレゼント、下町観光のお土産として大変人気があります。
中でも「うちわ飴」は、江戸の日常に欠かせない「うちわ」をモチーフにし、季節ごとに変わる伝統的な和柄が美しく施された商品です。木の手桶を模したパッケージに収められており、うちわと手桶が日本の下町情緒を感じさせ、商品とパッケージが見事に調和しています。また、商品は透明フィルムで包まれているため、桶に収まった「うちわ飴」の美しいデザインを存分に楽しめます。このパッケージは、紙とプラスチックの長所を活かしたデザインとなっており、パッケージごと飾っておきたいという声も多く寄せられています。


うちわをモチーフにした「うちわ飴」


浅草 飴細工 アメシン
浅草 飴細工 アメシン 花川戸店
〒111-0033
東京都台東区花川戸2-9-1 堀ビル1F
TEL:080-9373-0644
※体験教室用の当日の連絡・予約専用番号
営業時間:10:30〜18:00
定休日:毎週木曜日(臨時休業有り)
http://www.ame-shin.com/(外部リンク)



Topic
5
New Packnology

包装業界に関する最新技術の情報をお届けするニュー「パクノロジー」
「意外なもの」と「紙」を融合させたラベル素材

紙と異素材の融合で環境配慮
今回は身の回りにある意外なものを原料に抄き込んだラベル素材を3つ紹介いたします。

1つ目は深いシワが印象的なクレープ紙のラベルです。原料にはセメント袋の口縫い用テープや電線類の包装用の紙などが使われており、シワがあることによって独特の風合いが生まれるだけでなく、強度面も大きくアップします。水にも強いので液体の瓶ラベルなどにも安心してお使いいただけます。ヴィンテージ感のある風合いを活かし年代物のお酒用ラベルなどに打ってつけです。


(1)クレープ紙ラベル

2つ目は廃棄物となっている梅の種を炭化させて抄き込んだラベルです。ザラザラとした独特の風合いや濃い茶色の色調はもちろん、それに加えて炭の力による消臭効果や調湿効果、防カビ効果といった付加価値も魅力的なラベルです。


(2)梅炭ラベル

3つ目は卵の殻を抄き込んだバイオマスプラスチックラベルです。国民1人あたりの卵の年間消費量は約340個と言われており、その殻は年間で約20万トンの廃棄物となっています。このラベルは微粉末化した卵殻を51%の割合で混ぜ合わせており大幅な減プラに寄与します。プリンやシュークリームなど、卵を使ったお菓子用のラベルに使用いただくことでストーリー性が生まれます。


(3)卵殻ラベル



Topic
6
アイデアピックアップ

「ハイブリッド化」に関連した廣川がお届けする商品

PICK UP01

サステナブルの訴求、機能性、
プロモーション視点を合わせた
「高機能紙トレイ」

環境に優しい「高機能紙トレイ」
デザインやカラーの表現力が高く、ブランド力の訴求に繋がります
当社のエースパック事業部では、持続可能性の強化、製品のロングライフ化、人手不足軽減に対応する自動化、他社との差別化など、さまざまな課題に対応できる「高機能紙トレイ」をご提案しています。この「高機能紙トレイ」は、FSC認証紙に剥がせるバリアフィルムが付いたリサイクル性の高い容器です。また、プラスチックでは実現が難しいデザイン性を、紙の自由な表現力で叶えることができる容器でもあります。
最大の特徴は、剥がせるバリアフィルム付きでMAP包装が可能な容器である点です。MAP包装(ガス置換包装)とは、容器内を一度真空にしてから不活性ガスに置き換える包装方法です。真空包装では包装がシュリンク(収縮)するのに対し、MAP包装は容器内の空気量を減らさずに酸素を減らすことができるため、商品の見栄えや内容物の突き刺しを損なうことなく包装できます。これは、製品の美粧性を保つだけでなく、従来シュリンク包装が難しかった製品にも対応可能であり、幅広い製品の消費期限延長によるロングライフ化の手段として注目されています。
さらに、スタッキング時の重なり軽減による機械適正や、冷凍から電子レンジ加熱対応まで可能な広範な温度帯での適正も兼ね備えており、容器としての機能面も充実しています。
昨今、食品軽量容器を選ぶ際には、環境への配慮、機能面での適正、オリジナリティのある見せ方など、さまざまな要素を考慮した選択が求められています。当社では、お客様の課題に対して最も適切な容器を提供することを目指しており、その選択肢の一つとして、多機能でプロモーション効果も高い、環境に優しい「高機能紙トレイ」を提案いたします。今後も、お客様のさまざまなニーズに応える提案を続けて参ります。

PICK UP02

冷凍食品分野の
容器提案における
多様な商品実現力

コロナウイルス感染症の収束後も家の中の生活に快適さを求める人口が増え、そのひとつとしてお香の人気があります。そんなお香のパッケージとしてしなやかな発想でコストダウンを実現した当社のパッケージ事業部の実績を紹介いたします。

冷凍食品に採用されたミシン目トレイ
当社のエースパック事業部では、冷凍食品分野の容器提案における多様な商品実現力があります。
昨今では、特に冷凍食品分野においては、「無駄にしない」や「食べる分だけ使いたい」などといった観点から「個食化」を進んで取り入れる需要が高まってきており、それに伴った容器の開発が加速しています。
「個食化」に対して効果的な商品例として「ミシン目トレイ」が挙げられます。当社が提供する「ミシン目トレイ」は、極限まで薄さを求めながら中身の重さでミシン目箇所が重力に負けて切れないようにする構造や、ミシン目のスタート箇所が角張ることでけがをしてしまう可能性を軽減する形状など、目に見えない工夫があります。こうした仕様は、小さなことまで気にかけた気配りの提案力として評価をいただき、多様な商品実現力に繋がっています。また、環境配慮型の新素材の容器や、紙とプラが融合したいいとこどりのハイブリッド容器など、手がける容器自体も多岐に渡ってきています。
数え切れないほどの商品が生まれている近年の冷凍商品分野に対して、これまで培ってきた提案力と知識を踏まえて、こんな形状で、こんな仕様で作りたい、といったお客様の一品一様の商品に対し、容器を使う価値を改めて見つめた提案に取り組んでいきます。

PICK UP03

異なる材料の組み合わせで
容器の機能性がアップ

パキッとした開封感が爽快なEasysnap®。この容器の機能性の高さは様々な材料の組み合わせにより実現しています。
今回はEasysnap®に使われている2つの材料とその機能についてご紹介いたします。
図はEasysnap®の断面図と素材の名称です。トップフィルムは外側からPET、バリア層、接着層のLLDPE、ボトムフィルムは外側からでPS(ポリスチレン)、バリア層、接着層のLLDPEの積層によって構築されています。ここで重要な役割を果たしているのがバリア層とPSです。バリア層は文字通り、内容物を蒸発や外気の侵入から保護します。内容物によってアルミ、透明蒸着フィルム、EVOHなどが使用されます。
次にPSですが、コーヒーのポーションの蓋として目にすることがよくありますが、PSそのものにはバリア性や耐油、耐薬品性はありません。また衝撃に弱いことが弱点に挙げられますが、この弱点を利用しあらかじめ切り込みを表面に入れておくことで、曲げるとパキッと爽快に破断して内容物を取り出すことが出来ます。
このようにして、Easysnap®は素材の利点を活かして、また欠点を逆手にとって内容物の安定的な保存性と簡易な開封性といった相反する機能性を両立させています。

Easysnapパッケージ
Easysnapのバリア層の仕組み



Topic
7
廣川社員のお仕事
パッケージとプロモーション目線で効果的にお客様のビジネスに貢献
展示会出展に向け、奮闘中!

今回は、パッケージ事業部のYさん、エースパック事業部のKさん、Mさん、プロテック事業部のKさんにお話を伺いました。

当社は、10月に東京ビックサイトで開催される「TOKYO PACK 2024」に出展します。当社全体で出展する展示会ということで、それぞれの部署の強みを生かしたシナジー効果のある展示を予定しています。
今回の展示会では『儲けの包程式』をテーマに掲げ、パッケージとプロモーション目線で効果的にお客様のビジネスに貢献できる提案を準備しています。展示キーワードは、「流通効率化」や「消費喚起」となりますが、それぞれの視点でテーマを紐解き、各事業部の役割を最大限に生かした内容を検討する点や、来場者の目に留まり、気になってブースに足を運びたくなるようなブースの雰囲気作りの工夫が求められる点で、準備には多くの苦労があるといいます。しかしその反面、『当社を知っていただいている得意先様にも、新規のお客様にも、「廣川の提案は役に立つし、面白い!」と感じていただけるブースになっていると思います!』と、頼もしい言葉も語っていただきました。
この展示会を通じて、『儲けの方程式』が多くの来場者に響き、当社の提案力が新たなビジネスチャンスを創出することを期待しています!
社内の打ち合わせ風景



Topic
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廣川社員のオススメ情報

営業先のおいしいお店
サクサクとした衣と甘辛ソースのカツ丼
今回ご紹介するお店は、長野県駒ヶ根市にある「明治亭」です。こちらのお店は、信州名物のソースカツ丼で有名なお店です。特に人気のメニューは、サクサクとした衣が特徴の厚切りロースカツに、特製の甘辛ソースがたっぷりかかったソースカツ丼。このソースは、明治亭の秘伝のレシピで作られており、カツとご飯との相性が抜群です。ボリューム満点で、新鮮キャベツ、生姜の効いたつみれの味噌汁、野沢菜の漬物ともベストマッチングです。長年の伝統を守り続ける明治亭の味をぜひ一度お試しください。

サクサクとした衣が特徴の厚切りロースカツ

明治亭 駒ヶ根本店
【お店情報】

明治亭 駒ヶ根本店
TEL:0265-83-1115
住所:長野県駒ヶ根市赤穂898-6
アクセス:JR飯田線 駒ヶ根駅 バス10分/中央道駒ヶ根インターから車1分
営業時間:11:00~20:30(ラストオーダー)
定 休 日:年中無休

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