2025年03月25日 P&Ptimesインフォメーション

革新 | P&Ptimes vol.29


パッケージとプロモーションで
「お客様の想いをカタチに」

P&Ptimes

vol.29
March/April 2025

パッケージ&プロモーションを手がける会社が発信するP&Ptimes_vol29 | 和紙作家 堀木エリ子氏

Topic
1
P×Ptalk

第8回 廣川信也 × 堀木エリ子氏
自己との「対峙」、そして人との「対話」の中から
「革新」を生み出す和紙作家

P×P talkとは?
「P×P talk」は、当社代表廣川信也が各界で活躍するリーダーと、ビジネスや人生について語り合う対談企画です。
今回の対談のゲストは、国内外の名だたる建造物や空間において、日本の美学や精神性を宿しながら圧倒的な存在感を示す「和紙オブジェ」を世に送り出す、株式会社堀木エリ子アンドアソシエイツの堀木エリ子氏です。


株式会社堀木エリ子アンドアソシエイツ 堀木エリ子氏

PROFILE
株式会社堀木エリ子アンドアソシエイツ
堀木エリ子氏ほりきえりこ
1962年京都府出身。高校卒業後、4年間の銀行勤務を経て、1984年和紙関連会社に入社。その後1987年に呉服問屋の和紙部門としてSHIMUSを設立し、2000年株式会社堀木エリ子アンドアソシエイツを設立し現在に至る。

「建築空間に生きる和紙造形の創造」をテーマに、2700×2100mmを基本サイズとしたオリジナル和紙を制作。
和紙インテリアアートの企画・制作から施工までを手掛ける。

column
01

美学や精神性を伝えるために必要な言霊(ことだま)

廣川 著書に「作品や言葉を通して、日本人のものづくりの素晴らしさや日本人の美学を、次世代や世界に命ある限り伝えていきたい」と書いておられます。多くのアーティストが「作品を通じて伝えたい」とは言いますが、あえて「言葉を通じて」とはどういう意図からですか?
堀木 モノが素晴らしいかどうかはモノを見て判断することですが、その背景に宿る日本人の美学や職人さんがもつ精神性は言葉で語らないとなかなか伝わらない。これらを、和紙を通して伝えていきたいと考えています。
例えば白い紙は神に通じ、不浄なものを浄化すると言われます。だから日本人は慣習として不浄と言われるお札を白い紙の祝儀袋に入れ浄化して人に渡す、わざわざ品物に白い掛け紙をして浄化して人に贈る。これこそおもてなしの根底にあるものなのですが、それを今の学生に問うと、熨斗に目的と名前を書いておかないと誰からなぜもらったのかわからなくなるから、と答えてしまう状況。そういった背景をきちんと言葉にして前に出していくべきだというのが私の考えです。
ミラノ サローネ ユーロルーチェ「Baccarat Highlights」ミラノ サローネ ユーロルーチェ「Baccarat Highlights」

廣川 職人にしてもアーティストにしても作品に込めた思いを言葉にして伝えたいのだけども、その術がわからない。
そういう人たちの思いの代弁者の役割を担っておられるのですね?
堀木 そうなればと。「堀木がつくるものはそもそもアートなのか、デザインなのか、工芸なのか?」「作品なのか素材なのか?」とよく聞かれます。皆、分類しようとしますがその意識はありません。お客さまの思いをカタチにし、コンセプトを伝えることによって作品とその言葉が次の人に伝わり、さらに広がっていくことが大切だと思っています。

column
02

役に立たない「伝統」はやがて滅びていく

廣川信也

廣川 現在、当社グループの福島県の工場エントランスの和紙オブジェの制作をお願いしていますが、そこに当社の哲学である「在平素」と、世に送り出す製品(食品容器)の使命、さらに東日本大震災からの完全復活というテーマが見えるカタチになって反映されていくことに驚かされています。
堀木 工場のエントランスに私の作品が使われる目的は、働く人やそこを訪れる人に企業理念や考え方を伝えることです。伝統産業である手漉き和紙がどうやって生き残るかを考えると、やはりその時代の役に立たなければいけない。「美しい和紙を作りました」だけではだめ。
機能や用途も必要ですが、今回はお迎えとお見送りの空間で「企業理念の代弁者」として役に立つ。こういう活動を通して、日本の素晴らしい伝統産業を未来へ送らなければならないと思っています。なぜなら、現代において役に立たない「伝統」はやがて滅びていくからです。

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03

「やむを得ず」も立派な動機

廣川 越前と京都に工房を構えておられますが、越前は伝統的な和紙の漉き、つまり「伝統」の上に「革新」を加えていく場として、逆に京都は新しい手法に挑戦し「革新」を「伝統」に育てていく場として、この2つの堀木さんの「思い」の両立が目的なのでしょうか?
堀木 私がつくるものは自分の「思い」からではありません。人の「思い」を叶えることが発想の源になっています。京都に工房をつくった理由は、越前の方に「思い」を叶えるための新しい要望を出しても、「できない」で終わることが殆どだったからです。前例がなかったり、面倒くさいことが多いので…。そこで、なぜ「できない」のかを自分で確かめるために京都に工房をつくり、そこでやってみたら出来ることが多々ありました。それが結果「革新」につながったのです。職人さんにやってもらえず「やむを得ず」自分たちの工房をもったのです。
廣川 満たされた環境からは「革新」は生まれないという好例ですね。また堀木さんの「和紙作家」という肩書が印象的ですが、どのような経緯からですか?
堀木 これも「やむを得ず」です。私は社長業もやっていますが、職人でもデザイナーでもある。アートを求められればアーティストとして仕事をし、ディレクションやプロデュースもする。「何者?」と問われても、和紙デザイナーだけでもないし和紙職人だけでもない。一番近いのが「和紙作家」だと言われたのですが、ふさわしい言葉は今も見つかっていません。燃えない・破れない・汚れない・退色しない二次加工にも取り組んでいて、開発者でもあるので和紙作家だけでもないのですが。

column
04

「なぜ?」を追求していくと
「できない理由」はやがてなくなる

廣川 越前で紙を漉く職人さんの姿に感動し和紙の世界に飛び込み、その後勤めていた和紙製品開発会社が閉鎖され、伝統産業の先細りを危惧してご自身で起業したという経緯ですが、紙という伝統文化に対する関心はこの世界に飛び込む前、つまり前職(銀行員時代)からあったのですか?
堀木 全くありませんでした。が、昔から私には妄想というかいろいろイメージしてしまう癖があって、例えば喫茶店で友達と会話しながらも「このお店の雰囲気が悪い」と感じた時には、「壁の色か、あのシミか、あの雑多なモノの積み方か?」等が頭の片隅によぎり、「私だったらこうする」と具体的解決策まで想像してしまうのです。「なぜ?」「私だったら」という思考の訓練が知らず知らずの内にできていたのか、デザイン作業にあまり時間がかかりません。お客様との図面やイメージを交えての相談時に即座に「私だったらこうします」という発想が浮かぶのです。
この世界に対する関心は「なぜ?」が原点で、それが今、効果となって表れているのだと思います。例えば種類の違う和紙の積層時には無数の気泡が発生して製品にならないと当時の職人さんは言いました。その気泡を1つずつストローで吸えば1万個の気泡もやがてゼロになることを実証し実現に漕ぎつけました。「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」と問い詰めて原因をつぶしていけば大概の事はできるようになります。
堀木エリ子氏

column
05

「死に様」は選べないが、「生き様」は選べる

廣川 使命感があって和紙の世界に飛び込んだということですが、最初から「人の役に立つ」という意識もあったのでしょうか?
堀木 最初からではありません。職人さんのためという大義名分もありましたが、20〜30代は自分の生きがいや新しいことへの挑戦や楽しさで活動していました。ところが39〜40歳の頃に悪性の癌が見つかり医者からは「覚悟しておいてくれ」と言われました。そこで急遽「遺言状」を書く事を決心しました(後述参照)。
それを書いているうちに「まだこれだけする事が残っている、死んでいる場合ではない!」と思い、妙に力が沸いてきました。その時、人はいつ死ぬかは誰にもわからないので「死に様」は選べないが、「生き様」だけは選べるということに気付きました。毎日を成り行きで生きるのはもったいない。私は和紙を仕事にしているので、和紙を通じて人の役に立つことこそが私の「生き様」ではないかと。
廣川 佐賀県呼子町での鯨の飾り物を海に浮かべるお祭り「呼子くんち」への協力も堀木さんの「和紙を通じて人の役に立つ」ことの表れだと思っています。
堀木 親子鯨の曳山制作そのものにはクライアントがいるものの、それを曳ける機会がないということだったので、「じゃあ、お祭りにしましょう!」と提案しました。が、関係者からは「お金がないからできない」と。出来ないと言われるとやたら燃え上がるタイプなので(笑)、「クラウドファンディングでやりましょう!」と呼びかけ、目標額を大幅に上回る金額が集まりました。曳山は昼間は子供たちが曳き、夜は筏に載せて灯りをつけて島の弁天様に渡るという地元の人の記憶に残るお祭りとして、そしてそれを通じて皆が一緒になって街づくりを行い、歴史と伝統を未来へとつなぐ大切な取り組みとなって、今も続いています。

column
06

悩んだら「原点」に立ち返る

廣川 「東日本大震災の時、もし生活必需品をつくっていたら、被災地に大量に送るなどして、役に立つことができたかも知れないけれど、そこで必要なものは私たちが和紙でつくったものではない。普通の紙皿だ。このタイミングで傲慢になってはいけないと。命がけで仕事をしているなどと、偉そうなことを言ってはいけないと思った。もう少し謙虚に仕事をしなくてはいけないと反省した。」ということが著書に記されています。
堀木 もどかしかったです。そこで自分の「原点」を振り返ることにしました。銀行員からこの世界に入る時も多くの人から「やめとけ、お前にはできない」と言われました。理由は一つ。「堀木は大学でデザインを勉強していない。ビジネスも知らない。職人さんのところで修業したわけでもない」と。一瞬落ち込んだもののその時原点に立ち返りました。
例えば、縄文・弥生時代の素晴らしい土偶や埴輪は誰が作ったのか?それは普通の生活者であって、誰が「土偶専門学校」に行って勉強したか!?(笑)。ピラミッドにしても建築専門学校がない時代に、あんな複雑なものが造られ埋蔵されている宝飾品も「ジュエリー専門学校」で勉強した者がつくったわけではない。ということは私にもできる!そういう「原点」です。
それから、なぜ土偶や埴輪が当時つくられたのか?と突き詰めていくと、亡くなった人があの世で、あるいは生まれ変わった時に困らないように一緒に埋葬し、自分が病気になったら身代わりとして割って、健康を祈る為というもうひとつの「原点」でもあります。自然と向き合って何かモノをつくるという「原点」は自然に対する畏敬の念と命に対する祈りの気持ちにあるということを、あの3・11が思い起こさせてくれました。人の命は救えないけれど生活が落ち着いてきた時に「祈り」をテーマに何か心温まるものが見てもらえるのではないか?という思いで催した巡回展はこの「原点回帰」がきっかけでした。

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07

全ては「整理整頓」から始まる

廣川 堀木さんの生き方にご家族が影響を与えていますか?
堀木 ものすごく影響されています。家の中はいつも綺麗に片付いていて、私も小さい頃はお片付けするように言われていました。だから今でも、朝起きたらベッドメイクをしますし、部屋の中も全部整理します。そうしないと帰宅した時に嫌なのです。「整理整頓」するということは、頭を整理することになりますし、いい仕事につながります。先ほどの「原点に戻る」というのも考えを「整理整頓」することですし、「なぜ?」と考えるのも、できることとできないことを頭の中で「整理整頓」することだからです。教育現場において「整理整頓」は学習より優先順位が低く見られがちですが学習以前の基本です。小学校にワークショップで行くことがありますが、そのことを実感します。
廣川 僕も社内に向かって生産性と効率向上を目指して「整理整頓」をお題目のように掲げていますが、「なぜ?」という原因究明と「原点回帰」が本来の目的であることを社員に理解させる必要がありますね!

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08

「利他的情熱」があって初めて「ご縁」は活かされる

廣川 ハノーバー万博での実際に動く和紙製自動車、エッチング技法を施した合わせガラスと和紙との融合、異文化とともに歩む道を見つけるきっかけとなったフランス・バカラ社とのコラボなど、「無理難題」の実現事例は枚挙に暇がありませんが、堀木さんお一人の知識では実現できないものもあり、そこには「絶対実現させる!」という強い意志に加えて、それを可能にするための人的ネットワークといった「財産」も必要ですよね?
ハノーバー国際博覧会日本館 ランタン・カー “螢”ハノーバー国際博覧会日本館 ランタン・カー “螢”
デザイン・発案:山本容子

堀木 弊社には営業担当もいないし、私も創業以来営業活動らしいことをしたことがありません。新しいことは「雑談」の中からしか生まれません。顔と顔を合わせて話す。例えば会食中の会話から「ご縁」ができて、新しい出会いや仕事が生まれています。人生に必要なものは2つしかありません。1つはご縁、もう1つは腹の底から湧き上がるパッション。
ご縁が大切なのは誰でも分かりますが、自分に「こんなことがしたい」「こんな夢を持っている」という情熱がなければ、せっかくのご縁も毎日通り過ぎるだけのものになってしまいます。夢や情熱を語り続けることで初めてそのご縁は深まっていきます。語っているうちに「それならこんな人を紹介する」とか「こんなことならお手伝いできる」という人が現れ、未知の技術やノウハウをもつ人脈ができ、ものづくりが始まる。自分の頭の中だけでいくら考えていても前に進まない。「こうしたいんです」と発し、最後は「全ての責任は自分がもつ」と言い切ると最初は尻込みしていてもそれに応える人が出てくる。目的が「利己」であれば誰も応援してくれませんが、京セラ株式会社創業者の稲盛和夫さんが提唱された「利他」であればみんなが応援してくれます。

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「創作」は「工作」とは違う

廣川 放送作家の小山薫堂さんが「今までの和紙職人は、とにかくよい和紙をつくることが仕事のゴールだったが、堀木さんは和紙をつくるだけではなく、どう配置し、空間をどう変えることができるか、和紙がもつ使命のようなものを最後まで見届けるアーティストだ」とコメントされていますが、このように「長靴から地下足袋まで」、つまり紙を漉く現場から完成作品の施工現場までその全ての工程に立ち会うという姿勢は「臥竜点睛を欠く」ではありませんが最後の一瞬まで完璧さを求めているということなのでしょうか?
堀木 いくら和紙を綺麗に漉いても施工を業者さんに任せると皺が入ったり破れたりして台無しになる場合があります。彼らはその時に美しく仕上げることが仕事ですが私たちは5年後も10年後も和紙の美しさが保てるように考えなければなりません。施工業者さんに責任を押しつけるわけにもいきませんので、最後まで自分たちで設置します。また和紙は折ったり曲げたり、切ったり貼ったり何でもできてしまう。だからちょっと気を抜くと「工作」で終わってしまいます。
120%の力でやらないと100%の評価にならない。100%の力だと80%の評価しか得られない。私たちの活動は「工作」ではなく「創作」なので、当然そこには厳しさが求められます。だから、社員には常に「気を抜くな」と言っています。
廣川 僕も顧客評価を3段階に分け、低年次社員なら顧客から「うん」と言われば合格だが、中間層になると「なるほど」と期待を少しでも超えた納得感が、マネージメント層になると「ほぉ!」という期待を遥かに超えた時に出る感嘆の言葉が顧客からもらえなければ評価とはならないと常に社内で言っています。
宗家 源 吉兆庵 岡山本店宗家 源 吉兆庵 岡山本店
写真提供:株式会社ナカサアンドパートナーズ

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「前例がないことの具現化」を見せることで次世代は育つ

廣川 商品のパッケージにも携わっておられますよね。サントリーの「響」のラベルや、ロッテのチョコレート「紗々」のパッケージ等。前者は和紙ですが、後者は和紙ではないですよね?
堀木 企業のデザイン監修を何社か担当していて、私は素材が何であっても売上げが低下傾向にあるものをもう一度ヒットさせるような案件が得意です。なぜなら和紙がそうだったから。このロッテの「紗々」は表面の網目が特徴で、最初のキャッチコピーは「ほどける とろける」でした。しかし震災等の影響で「無」を連想させない、つまりプラス方向に変えるべく「つむぐ、織りなす」に変更しました(‘25年現在は「織りなす、食感」に再変更)。さらに中の個装が不透明で、美しい網目が隠れてしまっていたので、理由を聞くと、「何か印刷されていないとセンサーが反応せず製袋できない」とのこと。「それなら全体は透明で、両端にシャンパンゴールドのラインを入れたらいいのでは?」とアドバイスし、内装が見えるようになり、売上が3倍になったと聞いています。
結局、前例のないことは皆やりたがらなかっただけなのです。自社のデザインは全て私がやりますが、他社の監修をするときは、他社のデザイナーが成長しないと意味がないので、私は手を動かさずにアドバイスに徹します。私がデザインしたものが売れるということではなく、担当デザイナーに考え方を伝えて、全ての商品に応用していかないといけないのです。
ロッテ「紗々」パッケージと「サントリーウイスキー響30年」ラベル左:ロッテ「紗々」パッケージ(四代目:2013年~2017年)※現在このパッケージは終売しています。
右:「サントリーウイスキー響30年」ラベル
廣川 堀木さんは何でもできるので、もどかしかったのでは?
堀木 いえ、皆、優秀なデザイナーです。ただ、訪問する全ての会社に共通しているのは、コミュニケーションが足りないことです。月に一回私が訪問して、デザイナーだけでなく営業や生産担当など、他部門の社員も集めて会議を開き、そこで商品の本質を語り合います。結果的に他部署と意見交換ができるようになったことがよかったのかなぁと思います。
廣川 ある種コンサルタント業ですね?
堀木 私が上から何かを押し付けるのではなく、私は他社の社員と一緒に考えます。その会社単独で出来なかったことに対し少しアドバイスを加えることで出来ることに変える。全部自分の体験に基づくので説得力はあるのかなぁと思っています。講演会に行っても私の過去は変わらないので同じ話しか出来ません。
廣川 次世代に向けての「堀木学校」ともいえる厳しい指導に大いに興味があり、後進の育て方にも共感しています。
堀木 私の役割は、前例がないことを具現化していくことです。後進を育てることに注力するのではなく、新しい境地を切り開いていく私を見て「ついてこい」と背中で伝えることが一番よいことだと思っています。

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もう一人の「堀木エリ子」を探すことをやめる
廣川 これら堀木スピリットの継承者を探さないといけませんね。
堀木 現在62歳なので次をどうするか、5~6年前から考えています。例えばテレビを見ていても、昔のアイドルは松田聖子とか郷ひろみとかソロでの活動が中心でしたが、今はほとんどグループでパフォーマンスを披露する時代になっています。次の「堀木エリ子」を一人探すのではなく、社長業はこの人、デザインはこの人、紙漉きの技術はこの人、ディレクションはこの人というように、チームで受け継いでもらう時代であることに気が付いたのです。
廣川 それは、すごく的を射た考え方で、同じ悩みをもつ中小企業の経営者には大きなヒントになりますね!

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「遺言状」のススメ
廣川 先ほどの39〜40歳の頃に悪性の癌が見つかり「遺言状」を書くことを決心したとのお話がありましたが、大病を患っていなかったら、あるいは「遺言状」を書くという極限状況に追い込まれなかったら、違う「堀木エリ子」になっていましたか?
堀木 そうかもしれないです。
廣川 その「遺言状」は現在も更新されているのですか?
堀木 状況が変わる(2〜3年)毎に更新しています。最初は死ぬ時のためでしたが、今は安心して生きるために書いています。これによって頭の中の整理ができ、例えば制作途上段階の作品があったとして、納品するか・しないかの基準を明確にしたり、残された作品のうち、廃棄するものと、カットして使うもの、そのまま作品として使っていいものに分類したりしています。
廣川 つまり残された人が判断に困り、路頭に迷わないようにしてあるのですね。
堀木 もうひとつ。皆さん驚かれるのですが、社名を変えるように記しています。通常はシャネルとかエルメスのように個人の名を残して会社を継承させていきますが、弊社の場合は私が死んでいるのに私と同じものはつくれません。次の人がその人なりの作品を作り、さらに追求することで私を超えられるかもしれないのに「堀木」という名前が残る限り「堀木エリ子」は超えられない。だから、その人が責任を持ってその人なりの個性ある会社にして欲しいと考えてのことです。同時に会社を無くす(畳む)方法も書いてあります。どちらでも選べるようにしてあります。厚みで1cmくらいの分量です。更新毎にそれなりの費用がかかりますが、公正証書として残しています。年齢に関係なく誰でも突然亡くなる可能性があるわけですし、頭の中が整理できるので、皆さんにも「遺言状」を書くように勧めています。
廣川 私も「遺言状」を書こうと決心しました。本日はいろいろと貴重なお話をありがとうございました。


ERIKO HORIKIロゴ
株式会社堀木エリ子アンドアソシエイツ
ギャラリー・オフィス
〒604-8181
京都市中京区御池通高倉西入綿屋町525 吉忠ビル4F
TEL:075-211-3336
オフィシャルサイト:https://www.eriko-horiki.com/(外部リンク)



Topic
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ピックアップ

廣川がお届けする商品

PICK UP01

ケーキのようなちらし寿司容器

当社は既製容器の視点を変え、これまで前例のない新しい表現ができるパッケージの使い方を提案しています。
例えば「ワンポーションケーキ」や「カップデザート」専用として使用される容器に「ちらし寿司」を入れることで、中身のちらし寿司の見え方が一変。美しさを際立たせることによって、ディスプレイの方法次第では、商品展示が実に華やかなものになり、春夏秋冬のイベントにぴったりの食シーンも売り場で演出することができます。

このように、固定観念にとらわれない提案をパッケージとプロモーションの両方の観点から行うことで、さまざまな業界の製造者、販売者のみなさまにとって、新たな視点、新たな価値を創造するお手伝いができると考えています。(エースパック事業部)

ケーキ容器に入ったちらし寿司

PICK UP02

大きなリボンもつぶれない!箱の特長を最大限に活かした設計

当社が手掛けたラスクのアソートパッケージのご紹介します。お客様からクリスマス仕様ということで特別感を演出するために、箱の上部に大きなリボンを付けたいというご要望を受けました。一方で、リボンの取り付けも含めて箱の組み立てはラスクの工場で行うため、トップに大きなリボンを取り付けてしまうと、輸送時や店頭陳列時に箱が重ねづらくなったり、リボンがつぶれてしまうという問題が発生しました。そこで、箱を組み立てた際に底にくぼみが生まれるワンタッチ底の特長を活かし、あえてそのくぼみが大きくなるように設計しました。そうすることで、重ねた際に下の箱のリボンが上の箱のくぼみの中に収まるようになり、リボンがつぶれることなく、安定的に綺麗に積み重ねられるようになりました。(パッケージ事業部)
ワンタッチ底の特長を活かした、ラスクのアソートパッケージ

PICK UP03

何度でも生まれ変わる循環型食器「edish(エディッシュ)」

当社が販売する「edish」は、食物由来の素材を主原料とし、これまで再利用が難しかった穀物や果物の皮などの食品廃材や搾りかすなどの残渣をバイオマス資源として再循環させた容器です。
「edish」の最大の特長は、使用後に土に還り、飼料や肥料として再生可能な「生まれ変わる」容器である点です。また、高い剛性や電子レンジ使用可能な耐熱性、液漏れ防止、といった容器としての高機能性を備えているため、屋内に限らずイベントやアウトドアで安心して使用できる容器として注目を集めています。使用後は容器を回収し、工場で粉砕・乾燥し、飼料や肥料へと変わります。(※回収に関する条件や方法は関係諸団体との確認が必要です。)これにより、容器の回収から堆肥化、その堆肥を利用した食物の栽培までを実現し、アップサイクルを何度も繰り返すことで、持続可能な循環型社会の構築に貢献します。(エースパック事業部)
循環型食器「edish(エディッシュ)」



Topic
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現場からのセレクト情報

現場の営業マンが厳選した情報やニュースをご紹介します!

PICK UP01

パッケージとしての枠を超えた機能性

株式会社エポックケミカル「カラカラ ペリッテ」
当社は、埼玉県の筆記具メーカー「株式会社エポックケミカル」様の新商品「カラカラ ペリッテ」というロールシールのパッケージを手掛けました。この商品は、動物の形をしたシールが簡単に剥がせるよう、シールの一部が台紙から飛び出している点が特長です。しかし便利な一方で、その部分が折れ曲がったり、意図せず剥がれたりする懸念がありました。そこで当社は、シールを保護するボックス型のパッケージを開発しました。このパッケージはセロハンテープ台のような形状で且つ、商品をボックス内に収納できる形状のためシールを保護できます。また、「カラカラ」とスムーズにシール台紙を引き出せる快適さや、「ペリッ」と1枚ずつシールを剥がせる楽しさにもこだわりました。単なる包装材としての提案ではなく、商品自体の使いやすさや楽しさを表現したパッケージを作製しました。(パッケージ事業部)

PICK UP02

プラスチック使用量を40%以上削減した環境配慮型容器

株式会社ニチレイフーズ「きくばりごぜん🄬」
当社は、「株式会社ニチレイフーズ」様の通販限定の冷凍おかずセット「きくばりごぜん®」のトレイを製造販売しています。この容器は、PP素材に炭酸カルシウムを高配合した「STONE-SHEET®」を使用しています。「STONE-SHEET®」は、天然資源である炭酸カルシウムが主原料のため、CO2排出量削減に貢献します。また、非プラスチック扱いとなるため、事業者が負担する容器包装のリサイクル費用を軽減することにも繋がります(容器包装リサイクル法の負担軽減)。このように、環境に配慮した素材のトレイを作製することによって、「きくばりごぜん®」のコンセプトである「手軽に健康、簡単便利、環境配慮といったスマートな食生活を求める生活者へ幅広く価値を届ける」の一翼を担っております。(エースパック事業部)
※従来のトレイと比較時に、40%以上のプラスチックを削減。

PICK UP03

「ドキドキくじ」新登場!SNSで大反響、発売前から話題沸騰の自社企画

ドキドキくじ
当社は、2024年11月30日に新しいくじブランド「ドキドキくじ」を立ち上げました。従来のノベルティグッズやエンターテインメントパッケージ(消費喚起型容器の意)では、お客様の製造委託先としてサービスを提供していましたが、「ドキドキくじ」はタイアップ先の選定も含めて完全な自社企画です。2024年11月に販売された第一弾は非常に好評で、発売前にはSNS上で約11万の「いいね」を獲得しました。第一弾は発売後2日間で店頭在庫の80%が消化され、その後2週間でほぼ完売となりました。今後も魅力的な企画を展開し、新たな事業の柱として確立して参ります。(プロテック事業部)
※くじの開催店舗は内容によって異なります。
詳しくはHPをご確認ください。https://dokidoki94.com/(外部リンク)



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NEWS CLIP

日本と欧米のパッケージング業界に精通したパッケージマイスター森泰正氏による寄稿コーナーです。
紙とプラスチックを融合した海外の食品カップ

米国インディアナ州に拠点を置くBerry Globalとフィンランドの紙・パルプ企業Stora Ensoは協力して、フィンランドのヨーグルトメーカーValio社のタンパク質強化食品PROfeelブランド向けのカップCombiLightを開発した。これはプラスチック(PP)の骨組みを射出成形して、板紙スリーブに熱シールしたハイブリッド容器だ。Valioはすでにヨーグルトなどの酸性乳製品についてはこの容器を使用していたが、中性・アルカリ性食品の場合は、十分な保存期間を確保するためにバリア特性の改良が必要だった。そこでStora Ensoの高バリアコーティング紙を採用した。

この容器は他のプラスチックカップに比べてプラスチック使用量を最大60%削減し、丈夫で信頼性が高く、既存のプラスチックカップの充填ラインでも使用できる。120日間のシェルフライフを保証するPROfeelはチョコレート、キャラメル、バニラメレンゲなど多彩なフレーバーを揃え、改良されたカップに充填され12月に新発売された。このハイブリッドバリアカップは、ミルクカートンと一緒に紙のカートンリサイクルストリームに投入すれば、そのままリサイクルできる。

参考資料:Berry Globalのニュースリリース(外部リンク)

CombiLight


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廣川社員のお仕事

小さな改善が大きな改善に!
エースチャレンジ!カイゼンサークルの取組

製造効率をあげるのにどうすればいいのか全員で研鑽中の様子製造効率をあげるのにどうすればいいのか全員で研鑽中の様子
食品用プラスチック容器を製造する株式会社エースパックでは、昨年7月より製造現場における安全性・品質改善・生産効率化・設備保全・業務改善を切り口とした「エースチャレンジ!カイゼンサークル活動」を実施しています。国内にある4拠点の工場で少人数チームを結成し、それぞれにテーマを設定。現状に満足せずより高みを目指すチャレンジ精神を持って、さまざまな事項の改善と製品開発力の向上を目指しています。この活動は、頭に描くイメージを形にする探求心と開発力の発掘を目的とし、テーマはボトムアップ式でチームごとに導き出して設定しており、製品品質の向上、効率的な成型条件や金型の研究、製造プロセスの見直しや探求などを掲げ、各チーム一丸となってカイゼン活動に取り組んでいます。中間報告や半期ごとに各チームの活動報告を行いつつ、エースパック全体として継続して取り組んでいます。6月にはカイゼンサークル活動の結果を踏まえた表彰式も開催される予定です。



Topic
6
お取り寄せのパッケージ

厳選パケ買いスイーツ
日本固有の絶滅危惧種をモチーフにする新たな発想で
自然保護にも貢献している『小楽園ボンボン』
「小楽園」は、浮世離れしたような桃源郷のお土産物屋をコンセプトにした和洋菓子店です。今回ご紹介するのは、カラフルな金平糖と京飴をかわいらしい小箱に詰め込んだ「小楽園ボンボン」です。モチーフは「日本固有の絶滅危惧種」の動物で、売り上げの一部は絶滅危惧種の保全活動を行っている「自然保護協会NACS-J」に寄付されています。それぞれ「ホンドタヌキ」「トキ」「サドノウサギ」のイラストが描かれており、中にはその動物をイメージした色味のお菓子が詰められています。レトロな雰囲気のあるパッケージデザインと、宝石のような金平糖と京飴の美しさに心をくすぐられること間違いなしです。

「小楽園」外観
小楽園 TEA SALON & BOUTIQUE
〒151-0062
東京都渋谷区元代々木町10-9
https://www.shorakuen.com/(外部リンク)

小楽園ボンボン3種のパッケージ


Topic
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New Packnology

包装業界に関する最新技術の情報をお届けするニュー「パクノロジー」

プラスチック削減とコストダウンを実現する新しい紙パッケージ
『ノンラミパック』

ノンラミパックのイメージ
「ノンラミパック」は、環境に配慮し紙のパッケージを使用したいが、全てを紙で製造すると中身を見せられないという課題を解決したパッケージです。この製品は、紙とOPPフィルムを糊で接着しており、中身を保護しながら、視認性を確保しつつ、プラスチックの比率を大幅に下げています。その結果、パッケージの重量比は60%以上が紙となり、紙製容器包装に分類されます。また、接着のため紙の内側にポリプロピレンなどの熱接着層を敷くラミネート加工が不要なため、ヒートシールタイプの紙包材と比べて納期の短縮だけでなく、原材料費や加工費用の削減が可能になります。
「ノンラミパック」は小ロットの製造にも対応しており、1,000枚から印刷および製袋が可能です。印刷にはUVオフセット印刷を使用しており、一般的にプラスチック袋に印刷されるグラビア印刷よりも版代などの初期費用を抑えることができます。少量多品種の商品であっても、この印刷方法の利点を活かすことで、一般的なプラスチック製の袋のパッケージよりも取り扱いやすい資材です。環境に配慮してプラスチック削減をしつつ、商品の視認性も損なわないパッケージとして「ノンラミパック」を検討されてはいかがでしょうか。
※この商品は株式会社ジェイピーエフサプライの特許に基づき、製造されています。



Topic
8
廣川社員のオススメ情報

営業先のおいしいお店
ボリューム満点!福岡スタイルの柔らかいうどん
今回ご紹介するのは、福岡県糟屋郡新宮町にある「山ちゃんうどん」です。福岡といえばラーメンのイメージがありますが、実は福岡県はうどんの発祥地と言われており、数多くのうどん屋が存在します。「山ちゃんうどん」もその中でも人気のお店で、お昼時には会社員の方や家族連れでいっぱいになります。おすすめは『カツ丼セット』。ミニうどんかそばがついてきますが、ミニとは言えない大きさで、他店の普通サイズのボリューム感です。鰹節がよく効いた風味豊かな出汁に、福岡スタイルの柔らかいうどんが見事に調和します。
カツ丼は、硬めに卵がとじられた昔ながらのスタイルで、カツの一つ一つが大きく、こちらもボリューム抜群です。ごぼう天はもちろん、キムチや鴨肉など、トッピングも幅広く選べ、自分好みの福岡うどんを作れるのも人気の秘訣です。会計時には、隣接する鯛焼き屋さんの無料チケットがもらえるので、食後のデザートまで楽しめます。お近くに来られた際には、ぜひお立ち寄りください。

山ちゃんうどん
住所:〒811-0111 福岡県糟屋郡新宮町三代西1-11-1
TEL:092-963-0407
アクセス:JR鹿児島本線(下関・門司港~博多)/福工大前駅 徒歩17分(1.3km)
JR鹿児島本線(下関・門司港~博多)/新宮中央駅 徒歩18分(1.4km)
西鉄貝塚線/西鉄新宮駅(2.3km)
駐車場:あり
営業時間:月 10時30分~15時00分、水・木・金・土・日 10時30分~20時00分
定休日:火

山ちゃんうどんの外観とかつ丼セットのイメージ



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今月のプレゼント

トレーダージョーズのピクルスエコバッグをプレゼント!

今月は、アメリカの人気スーパーマーケット「Trader Joes(トレーダージョーズ)」から
ピクルス柄のエコバッグを3名様にプレゼントします。
トレーダージョーズは環境配慮をとても大切にしているスーパーで、プラスチック削減のためデザイン性の高いエコバッグを多く取り揃えています。それらのエコバッグはアメリカでは一家に1つは必ずあると言っていいほど人気の商品で観光客のお土産としても人気があります。
今回プレゼントするエコバッグは、トレーダージョーズブランドのピクルスの瓶詰をデザインし、鮮やかな配色が目をひきます。コットン100%のキャンバスタイプで、大容量かつコンパクトに収納でき持ち運びに大変便利です。

是非ご応募くださいませ!応募締切:2025年5月31日
※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。

ご応募はこちら

トレーダージョーズのピクルスエコバッグ