ぴったり!を仕立てる
製造業で効率を求めると、当然ながら、いかにして手間をかけずに短時間で生産し、在庫回転率を高め、代金回収を早めるかに集約されます。
その実現のために、少品種・大量生産・一括販売に向かいますが、それで成功するほどビジネスは甘くはありません。
当社がつくる包装資材や販促資材は、期せずしていつの間にかその真逆の多品種・少量生産・小ロット販売化に陥っており、「このままでいいのか?」と悩んでいました。
そんな矢先に、あるTVドキュメンタリーを観る機会に恵まれました。それは顧客と長い時間会話し、人柄や人生観を理解した上で採寸を始めるという、パリで活躍する日本人テーラーを追った番組でした。
その中で、彼が理想として掲げたのが「人生を、共に生きる服」。
例えば、「バーで、右手でほお杖を突いて酒を飲んでいるときに格好良く見えるスーツを作って欲しい」とオーダーした紳士は、実は左手が不自由。出来上がったそれを身にまとった彼は、「何十年もリハビリをしてきたけど、今、こうやってあなたのスーツを着て酒を飲んでいるのがいちばん幸せだ」とつぶやいたそうです。
たった一着のスーツが最先端医療のリハビリよりもずっと人を幸せにすることができることを証明したのです。
私たちが提供するパッケージやプロモーションも、つくりてと、つかいてにぴったり寄り添って、その両者に幸せをもたらすものにしなければならない。
つくりての想いをつかいてにしっかりと送り届けられるような「ぴったり!」を仕立てることが私たちの価値である。そう考えるに至りました。
「ぴったり!」なパッケージやプロモーションとは、その中身にサイズや形状が合致することだけではありません。その製品の特長や用途、対象者、流通チャネルなどをしっかり把握し、その目的に適う合理的な提案を行うという意味です。
したがって、必要以上に華美な仕様による無駄なコストの発生や、逆にコストを絞るあまりに必要な強度や機能が保てないような提案を私たちは行いません。
コストと目的とのベスト・バランスを常に考えて、顧客と生活者、そしてわれわれの三者がすべて満足できるパッケージとプロモーション。それがこの言葉に込めた当社の価値なのです。